フィリピン政府は、昨年から続くエルニーニョ現象でコメの収穫が少なくなると見て、コメの輸入量を増やすことを検討しています。ロイター通信が10日、マニラ発で政府高官の話として伝えました。もしフィリピンが追加に踏み切れば、ベトナムのコメ輸出は昨年の600万トンを大きく上回る水準に達する可能性も出てきます。
日本ブルームバーグから引用:
世界最大のコメ輸入国であるフィリピンの今年一期作目のコメ収穫高が最大40万トン落ち込む可能性がある。同国の政府当局者によると、エルニーニョ現象の影響で一部の州で降雨量が減少しているためだ。
日照りが進むと、いくら二期作ができる国だからといっても簡単には収量を増やすことができません。加えてフィリピンは日本以上に台風被害の大きい国。日本近海に進んでくる台風の多くはフィリピン東部からミクロネシアにかけての太平洋上で発生しているので、日本に比べると全然リスクは大きいのです。
日本ブルームバーグから引用:
フィリピン国家食糧局のレックス・エストペレス報道官は昨年11月、エルニーニョ現象の影響で乾燥が進むか台風に見舞われた場合、同国の10年の(コメ)輸入は過去最高の300万トンと、前年の178万トンから増加する可能性があるとの見方を示している。
ここで注目すべきは、2009年11月から12月にかけて行われたコメ輸入入札の結果です。
マネーベトナムから引用:
フィリピンが先日の台風直撃の影響でコメ不足が深刻になり、コメの輸入量が2倍増になる。また、2009年12月から2010年にかけて、フィリピンは約200万トンのコメを輸入する見込み。
入札は合計225万トン分を4回に小分けして行われ、ベトナムが低コストを武器にタイの輸出商社を抑え、ほぼ全量を落札しました。このため、もし追加の入札が行われるとなれば、当然、ベトナムはその分を獲得できる可能性が高くなります。そうなると、今年のベトナムからのコメ輸出量は、フィリピン向けの増加分がそっくり増えると考えて、大きく増えることが見込まれます。昨年達成した史上最高の600万トンを上回り、2年連続史上最高を更新することも十分予想できると、日本の商品取引に詳しいアナリストは見ています。輸出割当制度も事実上撤廃に近い量まで引き上げられており、600万トンを超えても問題はありません。
VIETJOから引用:
コメの輸出割当制度を撤廃し、市場動向に委ねる方針を明らかにした。
ベトナムのコメ輸出割当制度は、各地方政府やコメ輸出業者から「輸出量が制限される」として繰り返し批判されてきた。今年(2009年)の輸出割当量は520万トンまでとされていたが、商工省は先月、これを700万トンにまで引き上げる措置を取った。
しかし、フィリピンと南シナ海をはさんで向き合うベトナムですから、フィリピンに台風被害があれば、その台風がベトナムを通過してラオスやタイへ向かう事もあり得ます。従って、ベトナムの生産量が落ち込む事も考えないといけません。
第一生命保険経済研究所のレポートから引用:
昨年夏の台風襲来やその後の少雨により農業生産が低迷していることから、食料品価格の上昇が(ベトナム国内において)インフレをもたらすことが懸念されている。
農業生産が低迷ということは、即ち輸出に回せる量がその分減るということを意味します。加えて、タイが巻き返しに出る可能性もあり、計画通りに600万トンを上回る輸出を達成できるかは、まだまだ予断を許しません。