犯罪者はどこの世界でも懲罰されるのが当たり前。日本の時代劇「遠山の金さん」では、悪党が自分たちと斬り合いになった遊び人の金次と、奉行・遠山金四郎が同一人物であることに気づいて罪を認め、死刑宣告を受けるオチが有名ですが、一般市民がその場で袋叩きにして、死亡する例も後を絶ちません。最近も、ベトナムでこんな事件が起こりました。

VIETJOから引用:
 8月29日午後5時半ごろ、北中部ゲアン省ギーロック郡ギーティン村で犬泥棒を疑われた青年2人が住民らの集団暴行を受け死亡する事件が起きた。死亡したのは同郡ギーホップ村在住のグエン・ディン・ズンさん(22歳)とグエン・ディン・ホンさん(22歳)。

 調べによると、2人は子犬を袋詰めにして、モーターバイクに2人乗りして運ぼうとしたところ、この子犬を盗んだとして住民から追跡を受けたといいます。

VIETJOから引用:
 住民らの証言によると、バイクに乗った2人組の男が盗んだ犬を入れていると思われる大きな袋を抱えていたため追跡すると、2人組は袋を捨てて逃走しようとしたという。

 その際、袋を捨てて逃げようとしたために、「ドロボー」の叫び声を聞いた他の家の住人も慌てて飛び出してきます。2人が気付いたときには、数十人の男たちに取り囲まれていました。

VIETJOから引用:
 追跡の叫び声を聞いた多くの住民が外に飛び出して2人組を取り囲み、集団で暴行を加えたうえ、2人のバイクに火をつけて焼き払った。袋には犬2匹が入っていた。

 男たちは、犬を盗んだのはこいつらだと断定。その場で殴る蹴るの集団リンチを加えました。遠山の金さんでは、遊び人の「金次」に扮した金四郎が、1人で悪党に挑んでいるところへ御用提灯を持った廻り方同心がやってきますが、現実のケンカではこうはいきません。数十人対2人では、あっという間にやられてしまいます。今回もそうなってしまいました。見かねた別の住民が公安省に連絡し、警察官がやってきますが、その時点でリンチは最悪の形で決着がついていました。悪党とされた2人は、暴行によるショックで既に心肺停止状態になっていて、乗っていたバイクも火をつけられて使用不能にされてしまった後でした。

VIETJOから引用:
 住民らは、通報を受けたギーホップ村の警察官が到着したのを見てようやく暴行をやめたが、2人はすでに死亡していた。

 似たような事例は、タイでも珍しいことではありません。3年ほど前には、バンコク中心街のラチャプラソン交差点にあるエラワンの祠が壊され、それを見ていた清掃職員が捕まえたところ、お参りに来ていた市民多数も参加して犯人をリンチ、死亡させたことがありました。

バンコク週報から引用:
 (2006年)3月21日午前1時ごろ、バンコク都内ラチャプラソン交差点にあるエラワン廟に祀ってある本尊を金づちで壊した精神病の男性(27)が、怒った市民に暴行を受け殺害されるという事件が起きた。この男性は21歳のころから精神障害を患い、就職しても長続きせず、病院で治療を受けているところだった。

 そしてとんでもないことに、タイでは殺人の検挙率もベトナムに比べると低いのです。新聞に「殺人犯人逮捕」と載った事件がすべてではありません。10年程前には検挙率30%台、即ち3件に1件しか解決できないという惨憺たる状況でした。検挙率は年々上昇はしているものの、今でも5割に届くか届かないかで、2件に1件は未解決のまま。

バンコクで編集されている「newsclip」から引用:
 タイ警察によると、2008年度(2007年10月―2008年9月)の殺人認知件数は3902件、検挙率は47.9%だった。

 さらに中国では、単なる一般市民のケンカに対し、公安職員がワイロを出したほうに味方して相手を殺害した例もあります。

香港で編集されている「大紀元時報」から引用:
 中国河南省でこのほど、警察官が集団殺人を起こした治安事件が暴露され、中国各界を驚愕させた。容疑者の警察6人は逮捕された。(中略)河南省周口市公安局七一路派出所に勤務する6人の警察官は、知人の委託を受け、食事をご馳走になった代わりに、依頼者と口論した男性・李勝利さんに罪を着せ、派出所へ強制連行し、リンチを行った上、自殺と見せかけてビルの上から突き落とし殺害したという。

 公安省では、リンチに関わったとみられる住人から事情を聞いていますが、解決には相当の時間がかかりそうです。 

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