日本の消費者金融4位、武富士(東京都新宿区、東証1部上場)は28日、東京地方裁判所民事部に会社更生法に基づく手続きの開始を申し立て、事実上倒産しました。負債総額は4,336億円。ただし、今後行われる債権申し立ての状況次第で、最悪の場合には負債総額が2兆円を上回る可能性もあり、1月の日本航空と並ぶ超大型倒産になります。

朝日新聞から引用:
 消費者金融大手の武富士(本社・東京都新宿区)は28日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、経営破綻(はたん)した。武富士に利息を払い過ぎていた「過払い利息」は、返還を求めることができる人が推定200万人前後で、すべて請求された場合の返還額は1兆~2兆円になるという。

 武富士では、2000年以降だけで4種類のカードを発行してきました。日本国内だけで使えるキャッシング専用カード「Yenカード」「ベネシアカード」、そして2002年から発行を始めたクレジット兼用の「TAKE BIG SEVEN MasterCard」「ベネシアMasterCard」です。大手銀行系などのクレジットカードを持っていても、例えば法人カードを簡単には出せない海外の風俗店や、ネット通販で使うための2枚目のカードとして、TAKE BIG SEVEN MasterCardを持つ人もいました。

 武富士では、昨年11月以降は国内キャッシング部門の新規顧客獲得を取りやめに近い状況にしていました。既存の顧客についても、改正貸金業規制法の完全施行を見据えて貸し出しを細らせるため、「出金停止」の措置を取って返済のみの利用とさせるケースが目立っていました。

朝日新聞から引用:
 消費者金融大手の武富士が11月以降、貸し付けをほとんど停止していることが分かった。「過払い利息」の返還や信用力の低下などで資金繰りが悪化したため、顧客に回す資金を絞っている。返済能力に問題のない顧客も、希望通りには貸してもらえなくなっているとみられる。

 しかし、TAKE BIG SEVEN MasterCard、ベネシアMasterCardのショッピング機能については、機能停止になったとの報告はなく、特に海外では通常通り使えていました。ここベトナムでも、日本からの短期旅行者が使うケースが多数ありました。

 Yenカード、ベネシアカードは、昨日28日の午後に東京地裁が保全命令を出した時点で、過去に出金停止がかかっていなかった方も含めてすべてのお客様について、新規の出金ができなくなりました。現在は、日本国内の武富士の支店、無人店舗併設のATM、セブン銀行などの提携ATM、コンビニで返済のみの受付となっています。
 ただし、倒産したからといって過去の残高に対する返済義務がなくなるわけではありません。

武富士のホームページから引用:
 当社の会社更生手続き開始申し立てにより、返済義務がなくなることはありません。従来通りにご返済をお願いいたします。

 会社更生法の規定によって今後届け出が行われる更生債権(会社にとっては債務)を処理するための原資は、営業収益によって稼ぎ出されます。武富士にとって更生債権は過去の過払い利息。それを処理するために稼がなくてはならぬ収益というのは、既存顧客が払う利息以外にないということを忘れないでください。

読売新聞から引用:
 保全管理人の小畑英一弁護士によると、8月末時点で、返還請求をしている利用者は11万3,000人で、武富士が支払っていない過払い利息は、合計1,713億円に達するという。さらに、まだ請求をしていない利用者や、最後の取引をして10年以内で請求できることに気がついていない元利用者もいる。未請求分を含めると最終的に最大200万人、返還請求額は2兆円に膨らむ可能性があるという。

 TAKE BIG SEVEN MasterCard、ベネシアMasterCardのショッピング機能については、29日の午後の時点でも海外では通常通り使用できます。 MasterCard Worldwideや日本国内のクレジットカード他社から、武富士発行のカードを一律に使用できなくしたとの報告はありません。

 しかし、日本国内のネット通販では武富士発行のカードで新規登録することができなくなっている他、Yahoo!オークションでは一件5,000円以下の小口の落札に限り使用できるとの報告もありました。海外でも、特に日系の旅行代理店では今後、武富士発行のカードを受け付けなくなる動きが出てくる恐れもあります。最悪、使えなくなることも考慮のうえで、既存の残高については帰国後の一括支払いも覚悟、定期的な支払いについてもお手持ちの他のカードに移行するなどして、新規の利用額を徐々に減らすようにしてください。

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