公安省では、外国人入国者に課していた出入国カード(AD、もしくはEDカードともいいます)の提出を、9月15日から廃止すると発表しました。

時事通信から引用:
 公安省に所属する出入国管理局によると、グエン・タン・ズン首相はこのほど、ベトナムを出入りする全ての旅行者を対象にした出入国報告書を免除することを承認した。

 ASEAN域内では、マレーシアが2008年の一時期、出入国カードを省略して機械での読み取りのみとしたことがありました。しかし、半年ほどで元に戻され、現在はビザなし入国者でも出入国カードの提出が必要です。ベトナムが今回の改正を恒久的に実施するとなればASEAN域内では初めてとなります。

 ベトナムでは、社会主義国の多くで弊害となっている硬直化した行政体系、いわゆる「お役所仕事」の見直しを進めています。

ビナファイナンスドットコムから引用:
 税務総局によれば、今年は税務部門全体で240件以上の行政手続きを見直したといい、申告内容の簡素化や10件以上の手続きで廃止を進めたほか、全国統一で実施する税管理業務規定を作成するなどしたとしている。

 国家財政の中核である税収を担う税務総局は最も書類を使うことの多い部局ですが、公安省も御多分に漏れません。警察として容疑者の逮捕や捜査、起訴にかかる手続きなどがあり、ただでさえ忙しい部局。世界がICパスポート化へと向かう流れの中で、機械読み取りに移行することで出入国書類の簡略化を行うのは当然の流れだとしています。

VIETJOから引用:
 グエン・タン・ズン首相は国防省に対し、財政省、公安省と協力して国防省管轄の出入国手続き実施場所に早期にパスポート読み取り機を装備するよう指示した。また公安省には、読み取り機が装備されていない場所向けの新たな出入国カードのフォームを作成するよう求めた。ただし読み取り機が装備された時点でこのフォームは廃止される。

 ビザは外務省に所属する在外のベトナム大使館が発給しますが、この時点で申請書に本人の個人情報を記載させ、写真を貼り付けることで本人確認はできており、公安省が出入国カードによって改めて情報を取得するのは二度手間だというのです。パスポートの情報を機械で読み取り、在外公館から外務省に上がってくるビザ申請書の内容をオンラインで把握することができれば、入国審査はより簡単になるわけです。あとは、タイが行っている入国審査時の顔写真撮影や、日本やアメリカが行っている指紋採取などもできれば完璧ですが、ベトナムではそこまではしないつもりです。ビザ申請書に貼り付けられた写真で十分だというのでしょう。

 ベトナムがビザなしでの入国を認めているのは、ASEAN域内各国と日本、韓国、それに北欧の一部の国に留まっています。それゆえ、在留外国人の管理は事前のビザに依存する向きがあります。サイゴン陥落後に旧共和国から脱出した人や、彼らの子孫である「越僑」は申請をすれば現在の国籍に関係なくビザなしでの帰国ができますが、大多数の欧米人旅行者やテロリストは該当しません。
VIETJOから引用:
 グエン・タン・ズン首相は17日、海外在住ベトナム人(越僑)およびその配偶者と子供に対して入国ビザ(査証)を免除するとした決定第135号に署名した。この決定は(2007年)9月1日に発効する。
 対象者は、ベトナム国籍保有者またはベトナム出身者で外国のパスポートを保有している者、およびこれらの者の配偶者または子供である外国人。

 9月15日以降は、各空港および主要な陸路国境では有効なビザがシールされたパスポートを提出するだけとなります。税関申告書については、現在も出入国カード上で現金と金塊についてはチェックが行われていますが、出入国カードが廃止された後も申告が必要な旅行者は引き続き提出が義務付けられるため、そのためのフォームを財政省が改めて作成し、機内や入国審査場に用意するとしています。

VIETJOから引用:
 税関申告用のフォームは財政省が作成する。

 また、ビザなし渡航が認められている日本人は、パスポートのみを提出すればその場で15日間の在留許可が得られます。ただし、空港では必要に応じてベトナムを出国する航空券や、取得済みの隣国ビザをチェックすることがあります。
 

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