4月1日のエイプリルフール。世界中の新聞や放送、企業などが数々のうそニュースでセンスを競いますが、東南アジアではなかなか、お目にかかることができません。
朝日新聞から引用:
大手コーヒーチェーンの「スターバックス」は、自社のホームページで、「コーヒーカップのサイズの選択肢を増やしてほしいという客の要望に応える」との触れ込みで、今秋から米国とカナダでバケツサイズ3.8リットルの「プレンタ」と、極小60ミリリットルの「ミクラ」を導入すると「発表」。プレンタは「そのまま植木鉢に転用できる」との話をつくった。
ASEAN+3(日本、中国、韓国)でエイプリルフールがありそうなのは、タイ、シンガポール、日本、韓国。中国は一国二制度下で自由主義体制を取る香港とマカオのみで許されています。
日本の場合は新聞や放送といった大手のマスメディアよりも、インターネットで個人がウソ記事を自由に作って楽しんだり、企業が大手メディアに広告出稿して行うもののほうが主流になってきています。
スポーツ報知から引用:
エープリルフールの1日、新聞やインターネットで「うそニュース」「冗談企画」などが相次いで掲載された。ゲームソフト制作会社「ハドソン」は、朝日新聞に「板東英二、GReeeeN脱退。」というキャッチコピーの広告を掲載し、新作ゲームをPR。ほかにも、「大阪が独立」「ハマコー新党」「映画『人間失格』の主演にタイガー・ウッズ」などスパイスの利いたジョークが話題を呼んだ。
インドネシアとマレーシアは、人口の大半を占めるイスラム教徒に対してエイプリルフール自体を禁じるファトワ(イスラム法解釈)が出ているため、ほとんど取り組まれません。
ではベトナムはというと、大手のマスメディア、特に新聞は何らかの指導組織の機関紙として発行することが義務付けられています。
国立国会図書館「アジア情報室通報」から引用:
出版社は同法第9条によって国家機関に属するか公的機関であることが定められており、設立にあたっては国家機関の許可を取得しなくてはならない。
共産党中央機関紙「ニャンザン」を頂点に、例えばホーチミンシティで発行されている「サイゴンザイフォン」は、共産党ホーチミンシティ行政圏人民委員会の機関紙ですし、やはりホーチミンシティで編集されている「トイテー」は行政圏共産青年団の機関紙。日本の日経新聞に相当する経済紙「トイバオキンテー」も国営です。
テレビ(VTV)とラジオ(ベトナムの声放送=VOV)は完全な国営で、省庁級の政府機関と位置づけられています。
そんなベトナムですから、機関紙がウソの記事を載せることは許されず、エイプリルフールはないかと思うと、最近はそうでもなくなってきました。衛星テレビの普及で欧州や周辺の西側諸国から流れてくるエイプリルフールのニュース映像がベトナム国内でも流されるようになってきています。