ベトナムの人口は2020年までに1億人を超える可能性があると指摘されています。この予測を裏付けるデータが、統計総局から発表されました。
VIETJOから引用:
 統計総局人口労働統計部は2日、世界人口デー(7月11日)を迎えるにあたって記者会見を行い、ベトナムで第2の人口爆発が起こる恐れがあると明らかにした。

 前々から何度も触れてきていますが、ベトナムの現時点での総人口8,600万人のうち、7割以上がサイゴン陥落後の社会主義共和国時代になってから生まれています。そして、細かく見ると20歳以下(1990年以降生まれ)が全体の50%を占めるというデータもあります。
 ベトナム戦争末期の1974年には、民主共和国(北ベトナム)2,300万人、旧共和国(南ベトナム)が1,600万人の人口を抱えていました。そこから36年間で、実にサイゴン陥落時の南北合わせた総人口から2倍以上になった計算です。

 日本でも大東亜戦争後の団塊第一世代の時に、1,000万人以上が生まれています。その子供たちである団塊第二世代(1970年代前半)にも再び、1,000万人以上の新生児を記録しています。ということは、社会主義共和国発足直後のベビーブーム世代である若者が成長していく過程で、ベトナムは必然的に第2次ベビーブームを迎えなければいけなくなるという訳です。
 社会主義共和国初期(1980年代前半まで)に生まれた人たちは、既に30代。そして、1990年代前半までに生まれた世代も、10代後半になりました。2010年現在のベトナムの人口ピラミッドでは、この世代(10代)に2,000万人(全人口の約2割)が集中しており、これから妊娠・出産可能年齢になる10代前半だけでも1,000万人近くに達します。これは男女合わせてですので、女性だけで見ても500万人以上の「ママ予備軍」がいるという計算になります。

VIETJOから引用:
 出産可能年齢(14~49歳)の女性の数が急速に増加しているためで、該当する女性の人口は1989年には1,700万人だったが、1999年には 2,200万人、2009年には2,600万人にまで増加している。

 ここで、日本や韓国のように女性の晩婚化が進行している他の東アジアの国と、ベトナムとは訳が違うことに注目しなければなりません。ベトナムでも大学卒業者では晩婚化の傾向が徐々に出てきているという報告もありますが、大学まで行けるのはこども全体の1割に過ぎません。10代後半になると、多くの若者が社会に出ていき、女性であれば妊娠、出産の可能性が出てきます。
 特に少数民族では平均寿命がベトナム国民の大多数を占めるキン族よりも短く、そうなると妊娠・出産も必然的に早くなってきます。ベトナムの法定結婚年齢は男性20歳、女性18歳ですが、少数民族ではこれを下回る年齢でも容赦がありません。

VIETJOから引用:
 ベトナム社会科学研究所のチン・ホア・ビン博士によると、少数民族の平均寿命は約45歳と全国平均の73歳より大幅に短いという。

 実際に10代前半で妊娠・出産する女性も日本の比ではありません。このためにベトナム政府は、中国の1人っ子政策に倣って、1家庭の子供を2人までに制限する政策を採りました。ところが、以前にも触れたように少数民族の女性の場合は例外で何人でもリスクなく産めるのです。

VIETJOから引用:
5)夫婦のどちらかまたは両方が人口1万人未満の少数民族、または人口減少の危機に直面している少数民族に属している場合

 多数派のキン族であっても、コンドームなどの避妊具の普及が遅れていて、無避妊での性交渉に臨まなければならないことは多くあります。そのために重大な性病に感染してしまう女性もいます。

日本外務省のホームページから引用:
 ベトナムのHIV感染率は近年急速に増加しており、同国のHIV/AIDSの蔓延を防止し、抑制することは緊急の課題である。

 罰金や共産党員であれば党内処分などのリスクをおして、3人目の妊娠に踏み切ってしまったり、あるいは3人目のこどもを身ごもってしまった後に資金面の理由で妊娠中絶できないという事例もあります。

VIETJOから引用:
 グエン・タン・ズン首相はこのほど、ベトナム航空のファム・ゴック・ミン社長をけん責処分とする決定を行った。(中略)共産党政治局は党員に3人目の子どもを設けないよう規定しており、今回の処分はこの規定に基づいている。

 このままのペースで行けば、2013年にはベトナムの総人口は9,000万人を突破することになりそうです。

メインメニュー

ベトナムこぼれ話一覧

携帯サイト