前妻を殺害し有罪になったベトナム人の男が、出所後に再婚した奥様に塩酸を浴びせて殺害しようしたとして、ハノイ市警察当局はこの男を逮捕しました。現地ハノイで編集されているWebメディア「ベトナムネット」が報じたものです。
VIETJOから翻訳引用:
ハノイ市ザーラム郡警察は5日、同郡チャウクイ町在住のレ・バン・タイ容疑者(49歳・男)を別居中の妻(37歳)に塩酸を浴びせた容疑で逮捕した。
タイ容疑者は、2002年に別れ話のもつれから前妻を撲殺した前科者でした。男女の別れ話から殺人事件になるのは世界のどこにでもありますが、日本でよくある首を絞めるとか包丁で刺し殺すとかではなく、金槌を持ち出して前妻の頭を殴るという酷い犯行でした。
ところが、この時はタイ容疑者が精神病患者であると認められ、ハノイ市人民裁判所は懲役9年の有罪判決を下します。
その後出所したタイ容疑者は、2009年12月に今回の被害者となった現在の妻と結婚しますが、すぐに前妻のときと同様に喧嘩が絶えなくなってしまいます。妻はタイ容疑者の元を離れて別居。しばらくして離婚しようと荷物を取りにいこうとしたところで、タイ容疑者の復讐に遭います。妻が戻ってきたら殺す、タイ容疑者の心は8年前と同じ状態になっていました。
タイ容疑者は勤め先の工場から持ち出した塩酸を家に戻ってきた妻にいきなりかけ、やけどを負わせます。
VIETJOから翻訳引用:
妻は(3月)4日朝、自分の荷物を取りにタイ容疑者宅を訪れた際、同容疑者からいきなり顔に塩酸を浴びせかけられた。騒ぎを聞きつけた隣人らが警察に通報した。タイ容疑者は警察が駆けつけるまで泰然と座っていたという。
日本では、通常の殺人事例で同一犯人が4人以上、残虐事例では2人以上殺害するか、2度起こせば死刑以外量刑がないという判例が確立しています。しかし、殺人で有罪判決を受けた者が、再犯したにもかかわらず(2人目を)死に至らしめることができなかった場合はどうなるか。2000年以前なら、初犯で有期→再犯は無期、というのが多くを占めていました。ところが2000年以降は死者が1人で2件目が未遂に終わっても、死刑になる可能性が出てきています。
これに対し、ベトナムの刑法は西側諸国のそれにだいぶ近づいてきたとはいえ、死者が1人でも方法が残虐と判断されれば死刑になることはあり得ます。しかも、加害者に対する刑事審理と、被害者の遺族が加害者を相手取って行う民事裁判が同時進行するという、日本ではまず考えられない審理方法が取られた場合、被害者の遺族にも控訴を申し立てる権利が与えられます。それによって1審の終身懲役から控訴審で死刑に跳ね上がることもありました。
VIETJOから引用:
ハノイ市最高人民裁判所は(2009年9月)25日、2008年9月にベトナム人の恋人を殺害し遺体を焼いた韓国人の男(27歳)に殺人罪で死刑の判決を下した。2009年1月にハノイ市人民裁判所は終身刑の判決を出していたが、遺族が控訴していた。また遺族への慰謝料は、初審判決の5200万ドン(約26万円)から6100万ドン(約31万円)に引き上げられた。
今回のタイ容疑者の場合も、この規定が準用されれば、当然死刑は避けられないでしょう。