アメリカのゼネラルモーターズが製造した大型高級SUV「ハマーH2」をベトナムに輸入しようとしたある会社が、その特殊な仕様から税関告知書の品目欄に「戦車ないしは装甲車」と記述し、戦略物資に該当する可能性があるとして港の保税倉庫で差し止められていることが明らかになりました。
VIETJOから引用:
ハイフォン市税関局では、フォード・トゥード社が「ハマーH2」10台を輸入する際の申告書類に分類を8710(戦車ないしは装甲車)と記載していたことを問題視し、税関総局に問い合わせていた。
ハマーの源流はアメリカ陸軍と海兵隊に納入された「AMGハンヴィー」ですが、それは1985年から製造が続けられているH1というモデルだけで、H2は軍用とはまったく関係のない民生用として、同じGMが北米大陸向けに販売しているSUV「シボレー・タホ」をベースに設計されたクルマです。
ハマーH2は、日本の正規ディーラーである三井物産での販売価格が810万円という超高級車。ほぼ同等の仕様の日本車「トヨタランドクルーザーZX」が標準仕様で690万円、フルオプションで760万円ということを考えてもその凄さがわかります。ベトナムでは一般庶民はまず買えません。税金も完成車輸入関税80%と特別消費税50%がかかり、そのまま販売しようとすると1台2,000万円近い値段がついてしまいます。
ところが、今回問題になっているのはこのH2を防弾ガラス、装甲仕様に改造した特別仕様車です。
VIETJOから引用:
ベトナムは「戦車その他の装甲車両」の輸入を禁止しており、首相と国防相が許可した場合にのみ国防・安全保障用途としての輸入が許される。
輸入した会社ではベトナム共産党の最高幹部公用車として、また在ハノイの外国公館に大使用として販売しようとした模様ですが、関税も消費税も免税になる「戦車ないしは装甲車」という記述がなぜなされたのかについて、明らかな税金逃れではないかと見る向きもありますが、詳しいことはわかっていません。しかし、公安省は輸入を許可したといいます。
VIETJOから引用:
輸入元の申告書には公安省の許可証が添付されているという。
ここで、人民軍を所管する国防省ではなく警察を所管する公安省が許可をしたというのも引っかかるものがあります。
ハマーというクルマ自体、2009年のGM破綻、一時国有化で売却が検討されながら失敗して清算される予定になっており、ベトナムでは今回の10台が実質的に最後のチャンスとなるはずです。日本の正規ディーラーである三井物産も新規の輸入はストップしており、輸入できずに処分されるとなれば第三国への転売に回ることは避けられないでしょう。
時事通信から引用:
米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は(2月)24日、大型スポーツ用多目的車(SUV)ブランド「ハマー」の中国・四川騰中重工機械への売却を断念すると発表した。これを受け、GMはハマー事業の清算に着手する。
昨年10月に四川騰中との間で売却合意に達したが、中国当局からの認可が得られなかった。現在のハマー所有者に対する保証や部品の提供などは今後も続ける。
旧ソ連時代から続くロシアメーカー、カマズのSUVって、見てみたい気もしますが、果たしてどれくらいの性能なのでしょうか? ハマーにはとてもかなわないはずですが...