エイズ(後天性免疫不全症候群)の原因となるHIVウイルスに感染したベトナム人男性が、不治の病だと絶望して自作の爆弾を炸裂させ死亡するという、なんとも笑えない事件が起きました。

VIETJOから引用:
 20日午後4時ごろ、北中部ゲアン省クエフォン郡クエソン村で、検査でHIV感染を知った同村在住の男性Tさん(37歳)が将来を悲観して手製爆弾で自殺する事件が起きた。

 先進諸国であれば、体内に入り込んだHIVウイルスを根絶させることはまだできないものの、それがエイズにまで変化する、即ち発症は食い止められる。エイズはもう、抑え込める病気になっています。

日本語Wikipedia「エイズ」から引用:
 現在効果的な抗HIV薬が開発され、多剤併用療法(HAART療法)により、血中のウイルスを測定感度以下にまで抑えることができるようになった。(中略)そのため、人によっては糖尿病と同じ一般的な慢性疾患として捉えられ、発症を遅らせる治療により、病気とうまく付き合いながら長期生存が可能になりつつある。

 その最たる例が、薬害エイズ被害者でもある川田龍平参議院議員(みんなの党、東京選挙区)です。彼は抗HIV薬を一生使い続けなければいけませんが、どんな状況の中でも国会の場に立つことで自身の苦しみを健常者に対して表現し続けています。

 ところが、ベトナムでは川田議員のように抗HIV薬を入手できる人はごく一部に限られています。自殺したTさんもご多聞に漏れず、抗HIV薬を恒常的に入手することのできない低所得層でした。
 Tさんは20代の頃、覚醒剤中毒だったといいます。タイのヤーバーや日本の「炙り」のように体に痕が残らない方法がありますが、Tさんは注射器を使って覚せい剤を体内に取り込んでいました。

東京で編集されている「Serchina」から引用:
 31日付京華時報によると、HIV(エイズウイルス)感染対策を実行する機関の国連エイズ合同計画の調べで、都市の人のうち約3割が「麻薬や性交でエイズになるのは、当然の報い」と考えていることが分かった。

 その後Tさんは、麻薬を断つことはできましたが、ある日病院で血液検査をする機会があり、そこでHIVウイルスへの感染が発覚してしまいました。

VIETJOから引用:
 Tさんは麻薬中毒患者だった時期があり、最近HIV感染を知った後、何度も自殺を試みようとしたが、家族や友人が止めに入って思いとどまらせていたという。

 注射器の針を、毎回加熱消毒せずに他の中毒患者と使いまわしたためにHIVウイルスに感染した、いわゆる血液感染者でした。
 HIV感染発覚者が病気を苦に自殺するのは、世界中どこでも起こり得ます。日本でも年間3万人の自殺者のうち、HIV感染を苦にしてというのが何割かはあります。日本の大手インターネット掲示板「2ちゃんねる」では、「HIVサロン」掲示板でそういう人に対する偏見が蔓延っており、人権擁護団体が管理陣に抗議したもののまったく無視されています。

公益財団法人ケアインターナショナルジャパンのホームページから引用:
 この女性は、かつてHIVに感染したために自殺をしようとしていました。しかし、その内に秘めた強さ、そして家族や周囲の人々の愛のおかげで、現在、彼女はとても有意義な人生を送っています。

 Tさんも何度も自決を考えては、その度に家族や友人の助けもあって思いとどまってきました。しかし、彼の苦しみが限界を超える日がやってきてしまいました。密かに入手していた火薬を使い、手製爆弾を作ります。そして6月20日午後、同居の家族が他のことに気をとられている隙に、この爆弾を爆発させてしまいました。夜になって食事に出てこないことを心配した家族が自室へ呼びに行ったところ、Tさんは既に死亡していました。

 自爆テロで何人もの死者が出る例はそれこそしょっちゅうありますが、ちょっと間違えば家族も巻き込んで死亡させてしまう、アルカイダも真っ青の爆弾テロ事件になってしまいます。日本にも作家の坂口安吾など麻薬で廃人になった著名人はいますが、それ以上のものです。日本のテレビで昔あった「覚せい剤やめますか? それとも人間やめますか?」を地で行って、人間をやめてしまった廃人の中の廃人として、反面教師にされるべき存在、それがTさんの生き方だったのでしょう。麻薬廃人は恐ろしい...

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