ジェットスターパシフィックエアウェイズは、ベトナム国籍の航空会社です。しかし、合弁先であるオーストラリア本社やシンガポールにある同根の「ジェットスターアジアエアウェイズ」と同一のブランド名やロゴマークを使用しているため、外国航空会社が国内線に参入していると勘違いされることを恐れた政府は、独自ブランドの確立を要請する事態になりました。
VIETJOから引用:
民間航空局はこのほど、格安航空会社ジェットスター・パシフィック(JPA)に対し、6月末までに各空港に掲示されている「Jetstar」または「Jet」のロゴとオレンジ色の星の形をしたロゴマークを撤去するよう指示した。
ジェットスターパシフィックは1991年、当時(中華民国)台湾への就航ができなかったベトナム航空の別働隊的存在として設立。2008年、ジェットスターの親会社であるカンタスエアウェイズ(オーストラリア)の出資を受け入れ、格安航空会社に生まれ変わりました。
日本語wikipedia「ジェットスター航空」から引用:
カンタス航空の子会社として、シンガポールにジェットスター・アジア航空、ベトナムにジェットスター・パシフィック航空がある。現在ではブランド名をジェットスター (Jet★) に統一している。
ところが、本社や他国と同一のブランド名での就航は、原則として世界中どこの国でも内資主導の企業にしかできない国内線航空事業に外国航空会社の参入を認めたと勘違いされる恐れがあるといいます。昨年11月、政府はジェットスターパシフィックの幹部に、ジェットスターグループの共通ブランドを外すよう打診してきました。
VIETJOから引用:
独自のブランド名の構築については、昨年11月に開かれたJPA幹部との会合でホー・ギア・ズン交通運輸相が、JPAの航空運輸事業許可が更新期を迎える今年10月15日までに実施するよう求めている。
これに対し、グローバル企業としての企業イメージが破壊されると踏んだジェットスターパシフィックは、親会社のジェットスターエアウェイズとカンタス航空に指示を仰ぎ、カンタスでは一度は打診受け入れを拒否するよう指示します。しかし、事業免許が取り消される可能性を示唆されたため最終的には受け入れ、ホーチミン・タンソニャット空港とハノイ・ノイバイ空港のカウンターから、ジェットスターのロゴを取り払いました。
VIETJOから引用:
民間航空局は先に、各空港に掲示されている「Jetstar」または「Jet」のロゴとオレンジ色の星の形をしたロゴマークを6月末までに撤去するよう指示。この作業はほぼ完了したもようだ。
これを受け民間航空局は、航空会社のブランドイメージ確立にあたって最も重要な位置を占める、機体の塗装を変更するよう指示するという、次なる手に打って出ます。
VIETJOから引用:
同社が使用している機材のロゴやロゴマークを変更するため、9月15日までに塗装し直さなければならない――。これはベトナム民間航空局の指示だが、同局によるとこの作業は本来6月末までに完了しなければならないが、作業に時間がかかることを考慮して9月15日まで期限を延期したのだという。
ジェットスターパシフィックの機体は、旧パシフィックエアウェイズの時代から使ってきたボーイング737型機をジェットスターの塗装に塗り替えて使うとともに、グループ共通調達の一環としてエアバス320型機の導入も決めました。これら機体も塗り替えないといけなくなってしまいます。
エアアジアグループ(マレーシア)からの出資を受け入れたベトジェットエアアジアでは、ジェットスターよりもさらに踏み込んで機体を他のグループ会社(エアアジア本体、タイエアアジア、インドネシアエアアジア)と共通運用するなどのグローバル化も予定されています。航空局ではベトジェットエアアジアにも同様の指示をしており、開業が遅れる事態になっています。
VIETJOから引用:
新会社の名称が外国の航空会社を想起させるとして問題になり、航空局はベトジェットエアに独自のブランド名の構築を求めていた。
今回ジェットスターパシフィックが機体塗り替えの指示を受けたことで、ベトジェットエアアジアは機体を他のエアアジアグループ各社と共通運用する道が事実上絶たれることになりそう。機体を新規に調達しなければならなくなり、ジェットスターだけでなくベトジェットエアアジアの事業開始にも大きな影響を及ぼすと予想されています。
これについて国営ベトナム航空では、ベトジェットの営業開始に反対する姿勢を見せています。