ベトナムではタイやカンボジアに先駆けて、3G(第三世代)携帯電話が導入されてきました。しかし、意外なことに普及は進んでいません。まだ全体の5%にしかならないというデータが政府から出てきました。大都市圏での高速インターネットに需要が集中していることがその原因のようです。

VIETJOから引用:
 情報通信省が発表した最新の調査結果で、第3世代(3G)携帯電話サービスの利用登録者の実数が、3月に携帯キャリア大手2社が発表した数よりかなり少ないことが分かった。

 日本では、3G導入の初期にiモードやEZWebなどの簡易型インターネットが主流になったため、音声通話も含めて広く普及が進み、今では2G携帯電話は事実上駆逐されました。しかし、ベトナムでは音声通話だけなら2G(GSM)で十分という認識が利用者の間でなされてしまっているようです。

VIETJOから引用:
 情報通信省無線電信周波数局のドアン・クアン・ホアン局長は「3Gサービス利用者の大半はインターネットを利用しているだけで、その他の付加価値サービスに満足していない」と語り(後略)。

 ベトナムの携帯電話利用者はこの10年で爆発的に増えて、ASEAN圏内最大の1億4,000万契約を抱えています。ですが、3Gへの移行が終わったのは、まだ1,000万契約に達していないといいます。

VIETJOから引用:
 3月の発表ではビナフォンは700万人、モビフォンは600万人としていたが、実際はビナフォンが150万人、モビフォンが400万人だった。3社合計の登録者数は700万人程度となる。

 ASEAN域内では、タイが3Gで最も遅れを取りました。大手キャリアでは未だに3Gが導入されておらず、昨年12月にようやく「TOT3G」のサービスが始まったものの、バンコク首都圏近郊のみで普及が遅れています。iPhone3Gやブラックベリーといったスマートフォンも本来の性能を発揮できず、高速インターネットは無線LAN中心の利用になっています。 ベトナムの場合、大都市圏では3Gの整備が大方済み、地方へと対象が広がっています。

時事通信香港支局電から引用:
 軍隊通信総公社ベトテルはこのほど、クアンニン省コト県コト町で第3世代(3G)サービスを提供するための基地局(BTS)を開設した。大陸から60km離れたバクホ湾上に位置するコト島は、ベトナムの島としては大陸から最も離れており、3Gサービスの通信・維持が難しい状況にあった。(中略)2G基地局476カ所と3G基地局344カ所を設置した。2010年末までに(クアンニン省内)すべての村へ3Gサービスの提供が開始される予定。

 3Gが導入済みの地域では高速インターネットなど本来の使い方を求めるユーザーに3Gが受け入れられているようですが、それでも個人でインターネットを使いこなせるベトナム人はごく少数。ADSLよりもダイヤルアップIPのほうがまだまだ主流です。固定電話の普及が遅れた分携帯が普及したように、ADSLで出遅れた分3G携帯での高速インターネットが爆発的に普及する可能性はありますが、携帯電話ユーザーの大多数はまだ2Gで、音声通話やSMSを中心に利用しています。前にベトテルが自社ブランドの機械を発売する予定と書きましたが、それも2Gの普及機からのスタートで、音声とSMSだけ。3Gも投入するもののまずは足元をしっかりさせてからのようです。

VIETJOから引用:
 ベトテルが生産する予定なのは、普及品と中級品の携帯電話。普及品の生産コストは現在1台当たり約23米ドル(約2100円)だが、同社はこれより2~3割コストダウンできるとみている。

 そうなれば、主力の音声通話を3Gに移行するには時間がかかるということになります。日本でもauの前身のDDIセルラーグループが cdmaOneを導入した直後にはTACS(アナログセルラー)との両用機が出たほどです。3GとGSMの両用は3社(docomo、au、ソフトバン ク)すべてにあります。モビフォンもビナフォンもベトテルも、まずは3GとGSMの両用電話機で音声を移行し、iPhoneなどのスマートフォンで高速データ伝送を3Gに引き込もうと考えているんで しょうけど、ユーザーの理解が進まなければ2Gの優位はとても動きそうにありません。
 iPhoneの特長が十分に発揮できていないタイに比べればまだましだという声もありますが、まずは2Gから3Gへの移行戦略を見極めたいところです。

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