日本では来年7月24日をもって、すべてのアナログテレビ放送が終了してワンセグで統一されます。しかし、ベトナムではこれから本格的な普及が始まる予定。今後10年計画で全国への普及を終えるという、日本とよく似た構想が明らかになりました。

時事通信から引用:
 9日付のハノイ市党機関紙ハノイモイ(電子版)によると、ベトナムのグエン・ティエン・ニャン副首相は情報通信省に対し、「2020年までの地上アナログテレビ放送のデジタル化移行に向けての提案」を7月15日までに政府に提出するよう指示した。

 ASEAN圏内では、フィリピンが日本とまったく同じワンセグの導入を決めました。ベトナムでは、一部地域で既に欧州方式地デジの実験が始まっていますので、フィリピンと他のASEAN諸国では方式が違うということになります。

総務省ホームページ「報道資料」から引用:
 6月11日、フィリピン共和国電気通信委員会(NTC)は、同国における地上デジタルテレビ放送方式の規格として日本方式(ISDB-T方式)を採用する規則に署名しました。フィリピンは、日本以外のアジアで最初に日本方式を採用する国になります。

 フィリピン以外のASEAN9カ国はいずれも欧州方式を導入する方針を決めていますが、放送が始まっている国はまだありません。中国が独自方式、(中華民国)台湾は欧州方式で地デジを既に放送開始していますが、フィリピンのように一度は欧州方式の導入を決めかけたところを破棄してワンセグにしたという例もあるだけに、将来的にはワンセグへの全面切り替えや韓国のように移動体向けのみ独自方式、ないしはワンセグを併用という選択もあり得ます。

フジサンケイビジネスアイから引用:
 フィリピン側は一時、欧州方式を導入する方向で検討していたが、電波干渉に強い「ワンセグ」といった移動端末向け放送などに対応する日本方式を最終的に選んだ。

 そこでベトナムは、欧州方式にしてもワンセグにしても、今後10年をかけて普及させていこうという計画を打ち出したのです。ただ、ベトナムでもケーブルテレビや衛星回線はかなり普及してきたので、中長期的には地上波の電波による放送の視聴対象者は移動体が中心になっていくことが予想されます。

VIETJOから引用:
 ホーチミン市テレビ局(HTV)は14日、2015年までの同テレビ局発展方針を発表した。それによると、2015年までにアンテナを使用して受信する従来のアナログ放送を終了し、地上デジタル放送、ケーブル放送、衛星放送に移行するとしている。

 ワンセグの導入が比較的簡単にできる3G携帯電話もまだ始まったばかり。大手はNTTドコモやソフトバンクモバイルと同じW-CDMA、そしてauと同じCDMA2000 1xも導入されており、日本メーカーには技術の売込みなどに期待がかかります。
 ベトナム北部の山がちな地域では、固定網向けの地デジよりもワンセグの方が見やすく、普及しやすいとみられています。これが地デジで先行する日本では、地デジもワンセグも見られない不可視地域(難視聴のさらに上でNHKも含めて全チャンネル見られない)の解消に、視聴者ないしは自治体の負担が必要になる地域すら出ています。

奈良県庁ホームページ「県議会会議録」から引用:
 過疎地等山間地の地デジの対応と致しましては、2003年度から県の山間地域17市町村におきまして、県等が出資いたしますこまどりケーブルにより、ケーブルテレビの整備運用を進めて、地デジの受信環境を整備して参りました。2010年には残っております町村の整備も完了いたしまして、全域で地デジの視聴ができると。テレビのチューナー等あるいはテレビ自体の買い換え等をしていただければ、受信環境としては整備されているという状況でございます。

 しかし、ベトナムは社会主義共和国である以上、テレビ、ラジオはベトナム共産党の政策を全国に遍く伝えることが義務付けられていて、他のASEAN諸国のような民間100%、ないしは官民合同出資の放送局はできません。そういう使命を負う国営VTVのことですから、どんな僻地でもワンセグ中継局の増設と衛星デジタル放送、即ちは国費投入で解消できるはずです。そうなると、またも日本の大手電機メーカーに商機が訪れるのです。
 ベトナムの地デジは始まったばかり。普及が成功すれば、ラオスやカンボジアにも励みになります。ワンセグも導入なら、山間難視聴地域の多いラオスでの地デジ導入に向けての布石になるでしょう。7月の計画完成を、特に電機メーカーの駐在員は楽しみに待っているようです。

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