タイのバンコクからベトナムのフエまでは、直線距離にして1,000kmもありません。しかし、旅行者がこの区間を走ることは、以前はできませんでした。ベトナム戦争期には「ホーチミンルート」と呼ばれる旧民主共和国(北ベトナム)への物資輸送ルートとして米軍の攻撃対象になっていたからです。今は平和を取り戻し、バンコクとフエの間を1泊2日で走ることも可能になりました。
タイ北東部、メコン川に面した国境の商業都市ムクダハンの郊外に、タイ~ラオス第2友好橋ができて、もうすぐ3年になります。
一般財団法人貿易研修センターのホームページから引用:
2002年にアジア開銀を中心に始まったメコン流域諸国の開発計画の1つの大きなポイントとして「東西経済回廊」が建設され、中でも最大の橋が今月(2006年12月)20日に開通するということだった。ベトナムとタイの国境を成すメコン川の東側ラオス領にサバナケット、西側にはムクダハンというタイ領の町があり、この橋は第2国際友好橋としてその間を結ぶ。
橋を渡って、対岸のラオス領の町サワンナケットまで、出入国審査を含めてわずか1時間のバスの旅。日中1時間に1本のペースで1日12本が運行されており、イサーン各地やバンコクからムクダハンへ向けて頻発するタイ側のバスと、サワンナケットからフエ・ダナンに直行するベトナム側のオープンツアーバスをうまく組み合わせることで、タイとベトナムの間を1泊2日で結ぶことができるのです。
ふくちゃん公式ブログ「Traveler's Supportasia」から引用:
サワンナケットを午前10時に出るのがフエ行きのVIPバスです。(中略)このバスは昼間のうちに国道9号線のデーンサワン国境からベ検問所でラオスを出国、すぐ先のラオバオ検問所からベトナムに入り、速ければ夕方、どんなに遅くても夜8時にはフエ市内に到着することができます。
夜行バスで朝着いてすぐに乗り換えるのが大変でも、深夜発のローカルバスがありますので、イサーン各都市からフエ、ダナンのルートも、車中1泊2日で移動できます。実際、既に多くのベトナム人が、ASEAN域内の特権であるビザなし渡航を活用してベトナム、ラオス、タイの3カ国を横断し、バンコクやコンケン、ウドンタニといった都市に到着しています。
ふくちゃん公式ブログ「Traveler's Supportasia」から引用:
この10時発フエ行きVIPバスにタイから同日で乗り継ぐには、ムクダハンを7時30分発か、遅くても8時30分発の国際特急に乗る必要があります。(中略)レギュラーバスは毎日夜10時にサワンナケットを出て、深夜にデーンサワン検問所着。朝の開門時間まで休憩して、ラオス出国、ベトナム入国の手続きをし、翌日のお昼にフエ、夕方にダナン着というスケジュールです。(中略)この夜行バスに乗り継ぐには、ムクダハンを最終となる夜7時のサワンナケット行きバスに乗ればOK。
また、ベトナム北部へ向けてはサワンナケットからハノイ行きのオープンツアーバスが週2便運行されています。これを使えば、ハノイとバンコクの間を最速2泊3日で行くこともできますが、バックパッカーの大半を占めるであろう欧米人がバンコク~ハノイ間をわずか2時間で直行できるエアアジアを使うようになった今となっては、陸路でどこまでもという旅人は少数になりつつあります。
VIETJOから引用:
タイ・マレーシア系の格安航空会社タイ・エア・アジア(TAA)は(2005年)10月17日より、バンコク~ハノイ線に就航する。運賃は片道約36米ドル程度に設定する見込み。ハノイを発着する格安航空会社としては、シンガポール~ハノイ線に就航しているタイガーエア(Tiger Airways)に続き2社目となる。
それに加え、最近はベトナム人が本国にいるよりも稼ぎになるなどと騙され、不法就労のためにタイへ来る時のルートとして使われているとの情報も流れています。不法就労だけではありません。外国人旅行者の数がベトナムと比べて桁違いに多いタイで、旅行者相手の犯罪をやるために来るという人も後を絶ちません。
バンコクで発行されている「バンコク週報」から引用:
バンコク都内チャトゥチャック区のウイークエンド・マーケットでは先に19人のカンボジアとベトナム人のスリグループを逮捕したことで、マーケット周辺での窃盗などは減少しているが、一部のタイ人・外国人は、バンコク国際空港での置き引きの機会をうかがっているという。
インドシナ東西回廊が、旅客・貨物両方の健全な手段として活用されるようになるには、もう少し時間がかかりそうです。