お正月になると電力会社が「凧揚げは電線から離れた広い場所で!」とテレビCMをするのが日本の常識です。

関西電力のホームページから引用:
 タコ上げやラジコン飛行機遊びなどは、必ず電線のない所でしましょう。もし電線にタコやラジコン飛行機などがかかったときは、お近くの関西電力の営業所へご連絡ください。

 日本では凧揚げができる場所すらも少なくなってきており、ふくちゃんはバンコクの王宮前広場で週末に凧揚げを楽しむ家族の姿を懐かしい目で見ていたのを思い出しました。ところが、ベトナムでは空港の滑走路の近くでも平気で凧揚げをするとんでもない子供がいます。実際に、お客様を乗せた定期便の離発着に影響が出るというインシデント(重大事故に至る可能性のあった事例)に発展した例がありました。

VIETJOから引用:
 24日、中部ダナン市のダナン空港近くで「たこ」が揚げられていたため、同空港に着陸を予定していた航空機4機が旋回・待機や別の空港への着陸を余儀なくされる事態となった。

 空港の滑走路の近くで凧が揚がると、パイロットにとっての障害物となるだけでなく、それを回避しようとして通常ではあり得ない操縦をしたり、タコがジェットエンジン内部に吸い込まれてエンジンを止めさせる、あるいはプロペラ機でもプロペラに巻き込まれるなど、最悪の場合には墜落事故につながりかねません。
 このため、世界中どこの国でも空港の近くでは凧揚げが禁止されています。しかし、それを破る例もあり、バードストライク(鳥がジェットエンジンの風圧で巻き込まれてエンジンが止まること。最悪の場合には墜落もある)と似た大事故になることもあります。

ソウルで発行されている「朝鮮日報」から引用:
 (2009年9月)27日午後0時50分ごろ、仁川市延寿区(インチョンシ・ヨンスグ)の松島(ソンド)国際都市で開かれている「仁川世界都市祭典」イベント会場で、2人乗り軽飛行機1機が墜落した。この事故で飛行機の操縦士が重傷を負い、同乗者が死亡した。(中略)軽飛行機の左翼が連だこに引っかかってバランスを失い、何回転かして一気に落ちた(中略)当時会場では連だこ大会が開かれていた。600個のたこをつなげ長さは1キロメートルに達しており、軽飛行機は100メートル上空を飛んでいたという。

 韓国の事例は軽飛行機ですが、それだけでなく、商業運航している旅客機にも迷惑がかかります。旅客機ともなればスケールは全然違ってきます。最近では昨年、中国でこんな事例がありました。

サーチナから引用:
 (2009年5月)14日付中国新聞社電によると、上海・虹橋空港で13日午後、「たこ」のために発着の数十便に遅れが出た。
 空港が「たこが揚がっている」との通報を受けたのは午後4時ごろ。同空港は着陸を予定していた航空機に上空での旋回・待機の指示を出し、その後は「たこ」の行方に注意しながら、着陸や離陸を許可した。

 虹橋空港は、中国東方航空グループが主に利用する中国国内線のスーパーハブ。ここでの凧揚げによる遅れは、中国の航空全体に影響が及びます。今回はベトナムのダナンということで虹橋空港に比べれば格段に便数は少ないのですが、それでも着陸態勢に入っていた旅客機が着陸をやめて旋回するという事態になりました。
 凧が揚がっているのを見つけたのは、中部高原のザーライ省プレイクからダナンに向けて飛行中だったベトナム航空342便の機長。機材は小型プロペラ機のATR72でしたが、プロペラに巻きつく可能性を察知して管制塔に無線を入れてきました。

VIETJOから引用:
 VN342便は同日午後6時25分ごろ着陸準備に入ろうとしたところ、滑走路南側でたこが揚がっているのを発見、ダナン空港に報告した。

 そこで管制塔はVN342便に再上昇して、安全が確認できるまで空港上空で旋回するよう指示しました。

VIETJOから引用:
 ダナン空港事務所はVN342便に旋回・待機するよう指示

 その後、空港は一時閉鎖。警察の協力も得て約1時間後に凧を揚げていた子供を追い返し、再開しました。この間、他に着陸を予定していたベトナム航空とジェットスターパシフィックエアウェイズの合わせて3便も影響を受けました。

VIETJOから引用:
 この時間帯にダナン空港に着陸を予定していた航空機1機にはフエ市のフーバイ空港への着陸を、別の2機には出発した空港に引き返すよう指示した。また同空港からの出発便も離陸を見合わせた。

 凧揚げは、ダナンでも、空港ではなく海港の近くでやってほしいものです。

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