血で塗られる結果となってしまったタイのソンクラーンに続いて、日本のゴールデンウィーク、中国の五一節がすぐそこまで迫ってきました。今日は、ベトナムを訪れる外国人観光客の数に注目してみましょう。一番多いのは隣国でもある中国、2位がアメリカ。日本は4位と、タイとはうって変わります。
VIETJOから引用:
国別では、カンボジア人観光客が前年同期に比べ約2.5倍、中国人観光客は2.15倍増加している。
どこの国でも同じような統計を取れば、その国にとって最も重要な隣国が1位を取るのは目に見えています。タイの1位はマレーシア、ASEAN圏を除けば日本。マレーシアでの1位はシンガポールです。そういう意味では、ベトナムにとっての1位が中国というのも頷ける気がします。しかし、2位がアメリカ!? ベトナム戦争で戦火を交えた両国だけにとても信じられないという声もあるでしょうが、両国は「特別な関係」であることもまた事実です。
VIETJOから引用:
ベトナム戦争終結から30年以上経った今、米軍元兵士やその家族、そして約130~150万人いるとされるベトナム系アメリカ人の多くがベトナムを訪問したいと考えているからだという。
サイゴン陥落、社会主義共和国発足で旧南ベトナムを飛び出したボートピープルの残党の中には、アメリカや日本で事業を起こして成功した後、ベトナム本国へ帰国した人がいます。現地で生まれた子供たち、すなわち越僑2世の連中も、親の母国ベトナムを見てみたいという望郷の想いが日に日に増しています。当時20代だった米軍の戦闘員たちは40年の歳月を経てリタイヤ生活に入り、死ぬ前にもう一度ベトナムの土を踏みたいという気持ちがあるといいます。ベトナム戦争を知らない世代のアメリカ人は、戦時に米軍が残したものを見たいという世界史の勉強を兼ねた観光が人気になっているそうです。
バンコクで発行されている「バンコク週報」から引用:
VATの統計によると、ベトナムを訪れる国別観光客数で、米国は過去10年間常に5位以内に位置している。2005年は8月末までで23.1万人が訪れ、昨年の5位から現時点では1位となっている。
一方、3位になった韓国は、日本と同様にベトナムへのビザなし渡航ができるようになってから観光客が伸び始めたといいます。ベトナム、ラオス、タイの3カ国すべてをビザなしで渡航できるのは、ASEAN圏外では日本と韓国だけ。陸路でのベトナム縦断や、カンボジアビザを取得してのインドシナ半島周遊旅行は海外旅行初心者にとってバックパッカーとしてのデビューを飾るにふさわしいルートとして注目されています。
それとは対照的なのが日本。バンコクに代わるバックパッカーの玄関口としてハノイやホーチミンシティが注目されているようですが、まだまだ完全に取って代わるわけにはいきません。バンコクを経由してベトナム入国、あるいはベトナムでストップオーバーしても最終目的地はタイという人がいるからです。
日本人バックパッカーにとっての便利な場所というのは、次の目的地に抜けるための交通手段が発達しているところというのが条件であって、ハノイ・ノイバイ空港やホーチミンシティ・タンソニャット空港からのベトナム航空便がいくら発達しても、バンコク・スワンナプーム空港にはかなわない。あくまでもインドシナ半島内のハブに留まるのであって、南アジアや中東を意識した国際的ハブという意味で、バンコクやシンガポールには到底及ばないのです。
ホーチミンシティがハブになるはずだったジェットスターパシフィックエアウェイズも、まだまだ域内国際線のハブとして機能するには全然遠い状況です。グループ初となる日本への乗り入れもジェットスターアジアエアウェイズ(シンガポール)に先を越され、シンガポール~台北~大阪というルートになりました。
ジェットスターエアウェイズ日本支社のプレスリリースから引用:
ローコストキャリアのジェットスター・グループは本日(4月22日)、ジェットスター航空とともに同グループの航空会社であるジェットスター・アジア航空の営業を日本でも開始し、大阪-台北-シンガポールの新路線(*)を、2010年7月5日より180席のA320型機でデイリー運航すると発表しました。大阪-台北間のローコストキャリアによる直行便は、初めてとなります。
国営であるベトナム航空は最優先で発展させなければなりませんが、それだけでなく他の航空会社の誘致や成長戦略を支援する政策も、また重要ではないでしょうか?