ベトナム航空が3月から日本線を大幅に増やすなど乗りに乗っているのに対し、アメリカの航空会社にとっては、まだまだベトナムは鬼門です。ハノイ・ノイバイ空港に乗り入れている米系航空会社はなく、ホーチミンシティ・タンソニャット空港もユナイテッド航空が毎日1便乗り入れているだけです。日本航空もベトナム線増便を決めて会社再生への貢献を期待しているようですが、米系大手は取り残される一方のようです。

VIETJOから引用:
 米デルタ航空は3月27日からホーチミン市~成田線の運航を停止すると発表した。デルタ航空傘下のノースウエスト航空が昨年6月1日からこの路線で週4便運航していたが、今月1日からはすでに週1便に減便している

 世界最大手のデルタ航空ですらこうです。デルタ航空は旧ノースウエスト航空が持っていた成田空港での無制限以遠権を生かして、東アジア諸都市とアメリカ本土を結ぶハブとして活用する一方、日本からアジア諸都市へのお客様も獲得できる営業権も持っています。しかしホーチミンシティ線だけは、対象外とする取り決めがあった模様です。

VIETJOから引用:
 同社は成田空港経由で米国とホーチミン市を結ぶ路線で早期に利益が見込めるとしていたが、成田では旅客の乗降ができないとした取り決めがマイナスに働いた

 このため、デルタ航空では成田に常駐させているアジア線専用小型機のB757を使って週4便の運航としますが、アメリカからのお客様しか乗せられないために採算を獲得することができませんでした。
 デルタ航空が使っていたスケジュールはベトナム航空が引き継ぎ、毎日1便の運航にすると発表しましたが、これは明らかにスカイチーム加盟への布石と取れます。

ベトナム航空日本支社プレスリリースから引用:
 ベトナム航空本社は、2010年3月28日からの夏ダイヤより成田~ホーチミン線を現在の週7便から週12便に増便することを1月25日付けで発表致しました。しかしながら日本マーケットの更なる拡充を図るべく、成田~ホーチミン線を週14便のダブルデイリーへ増便することをこの度決定致しました。

 前にも書いた通り、スカイチームメンバー同士のデルタ航空とベトナム航空がスケジュールを調整し、デルタの太平洋線に接続しつつ、デルタが獲得できなかった成田~ホーチミンシティ間の営業権も獲得してメンバー会社の共存共栄を図るという意図が覗えるのです。
 同時に、ベトナム航空は成田とホーチミンシティの双方から朝と夜の毎日2便を出すことができ、タイトなビジネス客の要求に応えることが可能になります。

ベトナム航空日本支社プレスリリースから引用:
 成田~ホーチミン線の増便は、これまでの午前便に加え、午後便が追加されます。成田発往路便、午前・午後の2便から、復路便も成田に午前・午後に到着する設定のため、ご旅行計画の自由度が高く、旅客のニーズに合わせてフライトパターンが選択できます。

 スカイチーム世界一周航空券や、特典航空券も使えるので、集客に問題はないと見ます。

 一方、ユナイテッド航空は日本のハブ機能がデルタ航空に比べて弱い分、中国とアメリカ本土を結ぶ直行便を飛ばしている関係もあり、ベトナム便は香港経由でサンフランシスコへのルートとしています。しかし、香港~ホーチミンシティ間のみの営業権も得ており、スターアライアンスとしての利便性は確保しています。2004年から運航を続けており、旧南ベトナムから移った在米越僑の支持を集めています。

 問題は、ワンワールドに属する唯一の米系であるアメリカン航空。日本航空やキャセイパシフィック航空とのコードシェアでベトナムへの路線権を保有していますが、東アジアの自社便就航都市は成田と上海・浦東空港しかなく、日本からの以遠権も持っていないため、ベトナムに関しては蚊帳の外のようです。

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