ベトナム中部有数の大型石炭火力発電所となるギソン1火力発電所(タインホア省)は、2014年の完成を目標にまもなく工事が始まろうとしています。この度日本から主要な設備を調達することが決まりました。総合商社の丸紅がコーディネーターとなり、重電専門大手の富士電機システムズ(東京都品川区)にタービンと発電機を発注します。

※富士電機システムズは、持ち株会社の富士電機ホールディングス(川崎市、東証1部上場)と2011年4月に合併する予定で、それ以降は持ち株会社化前と同じ「富士電機」の社名に戻ります。

丸紅のニュースリリースから引用:
 丸紅株式会社は、ベトナム国営電力グループ(Vietnam Electricity、以下「EVN」)より、総出力600メガワット(60万キロワット)のギソン1石炭火力発電設備建設一式を単独受注し、6月1日契約調印致しました。(中略)主機である蒸気タービンおよび発電機は富士電機システムズ株式会社が、ボイラはフォスター・ウィラー社が設計、製造を行う予定で、2014年1月に完工予定です。

 ホーチミンシティやハノイといった大都市圏の電力を担う石炭火力発電所は整備が進んでおり、丸紅が絡んだ案件だけで既に9箇所に上ります。そして丸紅では、これらの発電所向けのタービン発電機分野で富士電機をパートナーに指名しており、富士電機では今年2月、ハノイに駐在員事務所を開設したばかり。富士電機としては、駐在員事務所開設後の実質第1号案件とも言える大規模受注となりました。

富士電機ホールディングスの「富士時報」から引用:
 富士電機の2009年度の一般火力および地熱向け蒸気タービン、発電機設備の出荷台数は16台、総出力約2,900MWである。これは中国華陽(洛陽)電業向け2台×600MW、ベトナム・ハイフォン向け1台×300MW と比較的大容量機の出荷が継続したことによる。仕向け地は東南アジアが大多数を占めており、地域の経済産業の発展に寄与している。

 丸紅によりますと、建設費は900億円で、国際協力銀行が円借款を投入することが既に決まっています。

 今回、新たに建設される発電所が立地するギソンは、ハノイから200kmほど離れた農業と漁業が産業の中心だったエリア。ハノイとビンを結ぶとされる、新幹線の第1期計画区間にも近いところです。しかし1990年代前半まではインフラがほとんど整備されておらず、工業化はまったく手がついていませんでした。それが1993年、ベトナムセメントグループが三菱マテリアル、太平洋セメントの両社とタッグを組んだギソンセメント工場の立地決定で変わりはじめ、2000年の工場完成を皮切りに、工業地帯として発展してきました。

三菱マテリアルのプレスリリースから引用:
 太平洋セメント株式会社と三菱マテリアル株式会社が共同出資し、ベトナムセメント公社との合弁会社であるギソンセメントコーポレーション(以下、ギソンセメント社)は、2007年4月よりタインホア省の工場にて第二生産ラインの建設工事を進めてまいりましたが、本年4月23日に現地において竣工式を執り行いましたのでお知らせします。

 そしてギソンは完成から10年を経たセメント工場に止まらず、石油化学なども立地する日本型の重化学コンビナートへと進化を遂げつつあります。ペトロベトナムはギソンで、ズンクワットに次ぐ第2の製油所の建設計画を進めていますが、そちらにも石油元売大手の出光(出光興産、東京都千代田区)と三井化学という、日系大手企業が絡むことが既に決定されています。

 セメントと石油化学の両方を併せ持つコンビナートは、ふくちゃんが以前、半年だけ住んだことのある三重県四日市市とよく似た形です。四日市にはコスモ石油の製油所と、太平洋セメント(旧秩父セメント)の積出港(四日市出荷センター)があり、プラントが山の方(藤原工場=三重県いなべ市)である以外は、ギソンとまったく同じと言ってもいいのです。四日市がある程度都市化の進んだところからコンビナート建設に取り組んだのに対し、ギソンは事実上、ゼロからのスタートという決定的な違いがあります。ですから四日市ぜんそくのような公害は現時点で問題になっていません。しかし、一部では製油所用地の収用でトラブルがあったとの報道もなされています。

VIETJOから引用:
 タインホア省ティンザー郡ティンハイ村のギーソン経済区で25日午前10時半ごろ、土地収用の補償金額に納得がいかず整地作業を阻止しようと集まった住民らとこれを排除しようとした警察を含む当局側が衝突した際、警察官の所持していた短銃が暴発、住民側の1人が死亡、2人が負傷する事件が起きた。

 ギソンのコンビナート開発は、これから正念場を迎えるといえます。

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