日立や三菱重工は、蒸気発生器や制御棒などの基幹部品を自社で製造することができます。しかし、東芝はウェスチングハウスを含めたとしても、蒸気発生器を自社では製造することができず、韓国の斗山重工から調達しています。将来的には日本国内で製造できるようになるといいますが。

AFP通信から引用:
 東芝は提携の詳細を明らかにしていないが、読売新聞の(2008年8月)26日付け夕刊によると、斗山重工が東芝に加圧水型原子炉(PWR)技術を供与する見返りとして、東芝は斗山に原子炉関連機器を発注する。一方、IHIは東芝から供与されたPWR技術を基に、PWRの主要機器の蒸気発生器などを製造するという。

 このため、先に初の輸出が決まった韓国の「標準型原子炉APR1400」でも、斗山重工が中心となりながら実際はウェスチングハウスを通じて東芝が知的所有権部分を中心に全体の約1割を受注しているというのです。

ソウルで発行されている「東亜日報」から引用:
 米国は、原発の本家であるにも関わらず、スリーマイル事故以来、原発建設は中止となっており、多くのオリジナル技術を保有しているウェスティングハウスまでが、日本の東芝に売却された。

 この事実が先にも指摘した通り、日本の原発輸出の未来を占う上で重要になってきます。沸騰水型原子炉を得意とする日立は、日立GEニュークリアエナジーの合弁相手であるGEのフォローを受け、東芝もグループ内のウェスチングハウスに加えて斗山重工をパートナーに付けた。完全に自社だけで原子炉を完成できるのは、三菱重工1社。日本が自前の原発技術を売りにしても、結局は世界を見据えなければやっていけません。日本の最先端技術を中心に据えつつも、世界に通用する技術を広く導入してベトナムの市場を舞台に競わせる。良い物だけを残してさらに発展させていく、グローバル市場という名の篩(ふるい)。そこに今回の受注確約の真の意図がある訳です。

 韓国標準型原子炉APR1400の輸出をめぐっては、日本でも2ちゃんねるを中心に非難が相次いでいますが、長期的には日本の利益にもなるという核心を理解せずにただ目先の落札結果だけ見て日本が負けた、バカチョン許さんなどと言われる筋合いはありません。グローバルな視点で物を見れなければ、いつまで経っても島国根性、尊皇攘夷、オマエモナーを繰り返して世界から見捨てられるだけです。

twitterのkikudomさんの書き込みから引用:
 日本でサラリーマンしてて短期旅行の友人曰く「2chのドンパチ連中なんか日本で通用しない人ばかりですよ」

 鉄道分野では中国が、日本(川崎重工)とドイツ(シーメンス、ボンバルディアトランスポーテーション)に競わせて得た実績を元に世界最高速の電車を作った。それが結果的に日本の新幹線に似てしまったことに日本の保守系メディアが怒りをあらわにしています。

産経新聞から引用:
 新華社電は「高速鉄道の奇跡」と評して「世界のリーダーになった」などと興奮気味に伝えているが、中国が国産と銘打つ車両はデザインも技術も日本の新幹線の"模倣"ばかり。しかし、そこには触れず、海外市場に売り込む作戦だ。

 これも端的に言ってしまえば2ちゃんねらーの考えることと一緒。中国に真似されてたまるかといういわば島国根性、国粋至上主義です。記録は破られるためにある、技術は常に進歩するためにある。だからといって、それが一部先進国にしかできないものもあります。新幹線で上回ることができたとしても、原発で中国が今すぐ日本を上回れといっても無理です。韓国が日本やアメリカの知的所有権なしには原発を作れなかったのと一緒です。

 ベトナムを舞台にした、原子力分野でのロシアと日本の永遠の競争は始まったばかり。それは完成して終わり、時が必ず優劣を付けてくれるというものでもありません。

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