国営ベトナム航空と、ジェットスターパシフィックに次ぐベトナム第3の航空会社、そして社会主義共和国発足後初となる国内資本100%の純民間航空会社として発展が期待されていた「インドシナ航空」について、民間航空局は財務基盤が確立していないとして、立ち上げからわずか1年で営業免許を取り上げる判断をしました。インドシナ航空は昨年10月から事実上運航を止めており、このまま消滅することになります。

 ホーチミンシティで発行されている「トイテー」によりますと、民間航空局に認可申請した運航スケジュールに対し、「その通りに運航を継続できるだけの能力がない」として、1月25日付で事業許可を取り消すことを決めたといいます。
 インドシナ航空は2008年11月、チェコのリース会社から調達したB738型機2機で運航を開始します。ところが、燃料費高騰のあおりを受けたのに加え、ベトナム航空やジェットスターとの決定的な違いを出すことができなかったため、あっという間に債務超過に陥ります。

VIETJOから引用:
 民間航空局は9月15日、インドシナ航空の財務状況に関する報告の提出期限を1週間延期することを承認した。期限は15日だったが、インドシナ航空から延期願いが出されていた。民間航空局はまた、インドシナ航空が16日からホーチミンシティ~ダナン(中部)線の運航を停止することも承認した。同航空の運航路線は1日2便のホーチミンシティ~ハノイ線だけとなる。

 2009年9月の時点で、インドシナ航空はハノイとホーチミンシティの間を毎日2便運航するだけになっていました。この区間にはベトナム航空が毎日10便以上をB772ERやA333といった大型機で運航しており、小型のB738で毎日2便では、とてもベトナム航空に太刀打ちできる状況にはありませんでした。
 その後10月に入ると、残っていたB738型機が故障していることが発覚。民間航空局から交通運輸省に事業許可の取り消しへ向けた上申書が出ます。

VIETJOから引用:
 報告は、インドシナ航空は多額の債務を抱えており安全な運航を行える状況にないとし、同社が唯一保有している機材も現在故障中で修理・整備計画さえ出されていないとしている。また、来年の運航を確約できる財務報告書も出されていない。こうした状況から、航空局は来年(2010年)1月1日に事業権をはく奪することを提案した。

 さらに、このB738型機が11月、チェコに返却されてしまいます。この結果、インドシナ航空は運航に使える飛行機がなくなってしまったのです。そこで、民間航空局は一旦認可したインドシナ航空の冬スケジュールを取り消しとする強硬手段に出ます。

VIETJOから引用:
 民間航空局は26日、インドシナ航空(ICA)の冬季運航スケジュールを取り消すことを決めた。同局のライ・スアン・タイン副局長は取り消しの理由について、ICAには運航を継続するための十分な財務能力がないうえ、機材もないことを挙げた。

 これに対して会社側は「複数の株主から運転資金の提供を受け、別のリース会社からB738型機2機を調達した」と報告し、1月11日付で再度、冬スケジュールの認可を受けます。この時点では、遅くとも1月20日までに運航を再開し、ホーチミンシティ・タンソニャット空港とハノイ・ノイバイ空港の間を毎日5往復、タンソニャット空港とダナンの間を毎日1往復運航する予定でした。
 ところが、会社側の説明による運行再開のリミットとなる20日になってもインドシナ航空の運航は再開されませんでした。これで民間航空局と交通運輸省の堪忍袋の緒が切れました。

ビナファイナンス.comから引用:
 多額の債務を抱えるなど安全な運航が行えない状況となり、同局から何度も財務報告書の提出を要求される中で徐々に航空機を手放し、最終的に現時点で1機も残っていないという。インドシナ航空の幹部は先日、テト(ベトナム正月)に向けて運航を再開するなどと宣言していたが実現できなかった。

 ジェットスターパシフィックも整備の問題を指摘されるなどしており、ベトナム航空による事実上の1社独占体制は、当分崩れそうもありません。

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