神戸製鋼(通称コベルコ、神戸市、東証1部上場)は、ベトナムで従来の高炉製鉄よりも一歩進んだ最先端の技術をふんだんに使った新しい製鉄所の建設に取り組む意向です。

フジサンケイビジネスアイから引用:
 ベトナムでの建設を検討するのは同社が開発した次世代製鉄技術「ITmk3(アイティ・マークスリー)」を取り入れた新型炉。鉄の含有量が少ないために、これまで使いにくかった低品位の鉄鉱石や石炭から「アイアン・ナゲット」と呼ばれる鉄の塊を生産できる。

 高炉製鉄で使う鉄鉱石は、鉄分の含有量がある程度高くても、亜鉛の含有量が多いと処理が困難、即ち使えないといいます。今回のプロジェクトでは、亜鉛の含有量が高く従来は使い物にならなかった鉄鉱石を有効な資源として製鉄に使おうと計画されています。

会社プレスリリースから引用:
 本プロジェクトは、ベトナム国内の鉄鉱石、石炭を主原料として高品位の鉄源を製造できる為、ベトナム側の期待も非常に大きいプロジェクトです。特に鉄鉱石に関しては、比較的鉄分品位が高いものの、これまで大型高炉では利用が困難であった同国タッケー鉱山の高亜鉛含有鉄鉱石を利用できる事から、ベトナムにとっては自国地下資源の有効活用に繋がると同時にプロジェクト側からは比較的安価な原料調達が見込め、プロジェクト採算性の向上に繋がるものであります。

 神戸製鋼では、従来の高炉製鉄に代わり得る新型製鉄法の技術開発に1990年代後半から取り組んできました。

会社発行の「神戸製鋼技報」から引用:
 ITmk3 は,粉鉱石と粉石炭から直接「粒鉄」を製造するプロセスである。現在の製鉄の主流である高炉-転炉法を第1世代,MIDREX プロセスに代表される直接製鉄法を第2世代とすると,ITmk3 は炭材内装技術を駆使した従来とは全く異なるコンセプトのもとに開発した第3世代の製鉄法と位置づけられる。

 ここで「粒鉄」という言葉が出てきましたが、これが今回新聞が注目したアイアンナゲットという言葉の意味に当たります。即ち、粒状の塊になった鉄、ということです。

会社ホームページから引用:
アイアンナゲットは、電炉ミルでの清浄鉄源や高炉ミルでの増産材としての利用が期待されています。
 電炉ミルの原料であるスクラップには銅やスズなどの不純物が含まれており、製品の品質に影響を与えます。スクラップの希釈原料としてアイアンナゲットを利用することにより、製品の高品質化が可能となります。また高炉ミルでは、溶銑にアイアンナゲットを添加することにより、増産効果とCO2削減効果が得られます。
 高品位のスクラップや冷鉄源の安定確保が困難となっている中、ITmk3®プロセスで製造されるアイアンナゲットは、これらの需要に応える製品として注目されています。

 ここでできた粒鉄は、電気炉で溶解して半製品化し、需要家に納品したり、輸出したりします。ます。2003年にアメリカで実証試験を開始し、2007年には商業生産へ移行しました。

会社プレスリリースから引用:
 当社が米国ミネソタ州政府及び民間事業者と共に、ミネソタ州で進めている「メサビナゲットプロジェクト(ITmk3実証プロジェクト)」の実証プラント建設が完工し、(2003年)5月下旬より実証運転を開始しました。開始直後の5月24日~25日には、5トンの粒鉄生産に成功し、6月7日からは24時間運転で毎時2トンの試験生産を実施しています。また、13日にはスティールダイナミックス社のインディアナ州・バトラー製鉄所に初出荷し、電気炉での溶解テストで好結果を得ました。 

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