今回、日産がベトナムで生産を行う「グランドリヴィナ」という車は、日本では販売されていません。2006年に中国で初めてお目見えした、次世代の日産のグローバル戦略を担ういわばワールドカーです。
会社ニュースリリースから引用:
「グランド リヴィナ」は7人乗りMPVで、セダンのような乗り心地と、エレガントでスポーティなデザインを特長としている。内装には多彩なシートアレンジや利便性の高い装備を採用した。パワートレインはCVTC(連続可変バルブタイミングコントロール)付1.8リッター「MR18DE」ガソリンエンジンを搭載し、それぞれ4速オートマチック(4AT)、6速マニュアルトランスミッション(6MT)の組み合わせを設定している。希望小売価格は6億1,100万9千ベトナムドン(約297万円)~6億5,875万9千ベトナムドン(約320万円)となる。
グランドリヴィナは日産が本国・日本で手がける「ウイングロード」に相当する5ナンバーステーションワゴンです。日本ではステーションワゴンやライトバンはMPV(多目的車)やSUV(スポーツユーティリティビークル)によって代替されており、日産でステーションワゴンとして残っているのはウィングロードが最後となっています。そして日本国内向けの日産MPVとしてはセレナやエルグランドといったワンボックスに近いタイプが主力になっていて、マツダMPVのようなボンネットのあるステーションワゴンに近いタイプのMPVはありません。
日本でキャブオーバートラックが主流になってピックアップトラックが壊滅したのは、積載効率の悪さが理由でした。ピックアップトラックはボンネットがネックになって荷台を伸ばすことができず、1トンしか積めません。しかしキャブオーバーは2トン積みが主流となり最大4トン積みまで現れ、商業用として主流の地位を得たのです。
しかし、グローバル戦略上はステーションワゴンやそれに近いタイプのMPVもまだ需要があります。
そこで日産はウィングロードや商用ライトバン「AD(アド)」で培った技術を投入して2006年、まず中国で「東風日産・駿逸」(英語名リヴィナジェニス)として発表。その後、2007年にはインドネシア向けに「グランドリヴィナ」の名前で投入され、これが今回のベトナム向けの基礎になりました。