携帯電話4位「S-Fone」を運営するサイゴンポステルが、事業協力契約を交わしている韓国の携帯電話最大手、SKテレコムから正式に出資を受ける方向で手続きを行っていることが明らかになりました。両社が共同出資する新会社を設立して現在のS-Foneの事業を移管するのか、それともサイゴンポステル自体にSKテレコムが出資するのかは明らかになっていませんが、政府ではこの秋にも法令の改正を経て新組織を認可する意向です。

VIETJOから引用:
 このほど、両社が事業協力契約(BCC)の形態で実施してきた携帯電話サービス事業「エス・フォン(S-fone)」を、合弁事業(JV)の形態へ変更する事業形態変更案を政府に申請した。手続きが順調に進めば、10月には認可される見込み。

 S-Foneは日本のau by KDDIと同じ、CDMA2000 1X方式を採用しています。この方式を採用するにあたって、CDMA方式の事業者として世界で最も長い実績を有しているSKテレコムから技術供与を受けてきました。しかし、GSM方式の事業者であるビナフォン、モビフォン、ベトテルの大手3社とはSIMカードも機械も互換性がないことが災いし、普及は大きく出遅れていました。ベトナムの携帯キャリア7社中、大手3社で95%を占める寡占状態の中で、残りの5%という小さなパイを後発の4社(S-Fone、EVNモバイル、ベトナモバイル、Gtel)で取り合う消耗戦に陥り、SKテレコムは、2009年12月頃には事業協力を解消する可能性も考え、持分を一度はベトナム側に引き渡していました。そこでサイゴンポステルでは、SKテレコムに機械を供給している同じ韓国のサムスン電子と中国の電話機メーカー2社を相手に、協力の覚書を交わしました。しかし、これはS-Foneが今後行う予定の設備投資にかかる、機材の売買契約ではないかと見られています。

VIETJOから引用:
 「エス・テレコム携帯電話サービスセンター」は先頃、韓国のサムスン、中国のZTE(中興通信、広東省深圳市)及びHuawei(華為技術)と、通信機器や第3世代(3G)携帯電話サービスの提供、マーケティング、人材育成などへの協力に関する覚書を締結した。しかしこれら3社は通信設備の製造販売を主要事業とし、通信事業の経験がないことから、この覚書は実質的には設備売買契約になると見られている。

 そこでCDMA方式でのサービス提供経験が豊富なSKテレコムのベトナム撤退という最悪の事態は断固避けるべき、むしろ関与をより強めなければならないと、サイゴンポステルでは判断している模様です。

 具体的な方法としては、SKテレコムが既に設立済みの現地法人とサイゴンポステルが共同出資する新会社に、エス・テレコム携帯電話サービスセンターの全事業を移管するのが最も手っ取り早いとみられます。総公社の形式になっているサイゴンポステル自体を統一企業法に基づく会社に移行して、そこにSKテレコムが出資する方法もありますが、通信会社への外国資本の直接導入(株式取得)は現行の電気通信法の上ではできません。

東京で編集されている「ワイヤレスワイヤー」から引用:
 情報通信省は、電気通信事業者に対する外資規制を緩和して30%までの出資を認めるよう、電気通信法改正を8月に国会に提案する。これにより急成長中の携帯電話市場がさらに活性化すると期待されている。(中略)現在、ベトナムの電気通信事業に参入するにはBCC(Business Cooperation Contracts)を通じ、政府の認可を得た上で、ベトナム国内の既存の事業者と共同で事業を行い、事業損益を分配(いわゆるレベニューシェア)する形態しか認められていない。

 電気通信法の改正を機に、ベトナム国内の電気通信事業者の株主に外資がなれるようになれば、エス・テレコム携帯電話サービスセンターを独立の株式会社に移行させ、SKテレコムを初めとする韓国資本に法律で認められる上限の持分を取得させて財務体質を強化し、一方で協力覚書を武器にサムスン電子や華為から設備強化に必要な投資を引き出そうという狙いがあるとふくちゃんは見ています。事実、SKテレコム以外にも出資を希望する韓国資本が現れており、交渉中だといいます。

VIETJOから引用:
 韓国のRutter Associates Koreaがエス・フォン事業への総額1兆6,000億ドンの出資を打診している。

 電気通信法改正は秋にも予定される国会第12期第8回会議で審議される予定で、可決されればS-Foneを外資との合弁企業に移行するための認可が下りる予定です。 

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