アジアで売られている携帯電話機の多くは、中国製。3Gの普及が早々に一巡した日本は別格としても、ベトナムでは中国製電話機が幅を利かせています。そんな中、昨年からベトナムでの生産を開始したサムスン電子は、わずか1年半で輸出額10億ドルを叩き出す「孝行息子」ぶりを見せています。

時事通信から引用:
 韓国の大手家電・電子製品メーカー「サムスン電子」のベトナム法人「サムスン・エレクトロニクス・ベトナム」は17日、バクニン省のイエンフォン工業団地にある携帯電話生産工場が稼働してからこれまでの輸出額が計10億ドルに達する見通しとなった。

 サムスン電子は世界最大の電機メーカーとして、本社のある韓国だけでなく、世界11カ国に56の生産子会社を抱えグローバルに活動しています。ベトナムには世界シェア2位(1位はノキア)を占め続ける携帯電話無線機の製造を担当させるため、2009年に進出してきました。サムスングループ全体で、7番目となる携帯電話工場です。

VIETJOから引用:
 サムスン電子ベトナムは(10月)28日、北部バクニン省イエンフォン工業団地に建設した携帯電話生産工場の稼動を正式に開始した。総投資額は7億米ドル(約640億円)。

 欧米市場が完全に確立した3G、第三世界などでまだまだ根強い需要のある2G(GSM)の両方に対応し、音声通話専用の普及機から今流行のスマートフォンまで、月産150万台(年間1,800万台)の製造を行える体制を整えました。サムスン電子では今後も設備投資を重ね、近い将来、月産800万台(年間1億台)まで能力を増強するとしています。そして、年間1億5,000万台以上を製造している主力の中国工場の機能を分散させ、世界有数の大拠点に発展させようというのが最終的な狙いです。

聯合ニュースから引用:
 昨年下半期に完工した6番目の工場、ベトナム・ハノイ工場の生産が本格化すれば、年間で1億台以上を生産できることから、(韓国)国内生産割合の低下は避けられない。

 生産された電話機はASEAN域内をはじめ世界に輸出されており、タイでは最も安い音声通話専用機からAndroidOSを搭載したスマートフォン「ギャラクシーS」までのフルラインアップが揃います。音声通話専用機は大型ショッピングセンターなどで800バーツ(2,300円=$30)で売られています。
 出遅れていた日本向けも、長年の取引があるソフトバンクモバイル向けに加え、NTTドコモ向けの機種を追加、いつでもベトナムで生産できるよう対応を整えています。

サムスン電子のホームページから引用:
 SAMSUNGは、初のNTTドコモ向け携帯電話『SC-01B』の発売を通じて、日本のケータイユーザーの方々にとってより身近なブランドとなるべく、今後も引き続き企業努力を重ねて参ります。

 現在は2,000人ほどの従業員が働いていますが、年産1億台が達成できる数年後には1万人程度まで雇用を増やすとしており、ベトナムでも有数の規模を持つ工場として雇用の確保にも貢献するとみられます。ということは、これから数年間で8,000人もの新規雇用が行われるということ。新聞などで積極的な募集が行われています。
 また、サムスン電子傘下の部品メーカーも相次いでベトナムに進出しており、こちらでも雇用が拡大。これから11社が工場を新規に稼働させるため、ベトナム人労働者を採用することになります。

VIETJOから引用:
 同工場に部品を供給するため、部品メーカー17社がバクニン省に投資しすでに6社が操業を開始している。

 サムスン電子では、1台あたりの輸出単価を$50~$100程度と見ています。来年、2011年には年間7,000万台を1台あたり平均単価$65で輸出して、45億ドル程度の貿易高になると見ています。年1億台が達成できれば、70億から80億ドルになると業界筋は予想しています。

VIETJOから引用:
 来年には月産能力600万台、2012年には年産能力1億台、(中略)来年の輸出額は45億米ドル(約4100億円)を見込んでいる。

 そして、ゆくゆくは貿易高年間100億ドルという大目標へ。サムスンの挑戦は、まだ始まったばかりです。

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