内閣総理大臣・鳩山由紀夫はアメリカのワシントンDCで行われた核セキュリティサミットの席上、ベトナムのグエン・タン・ズン首相と会談。新幹線計画の正式な決定が近いことを知らされました。
日本外務省プレスリリースから引用:
ベトナムの南北高速鉄道建設計画について、ズン首相からは、日本がこれまで本案件について調査を行ってきたことに感謝すると述べた上で、ベトナムの国会がその投資政策を決定した後、ベトナムは日本の新幹線方式を導入することを検討する、その際にはプロジェクトの効率性を確保するため、日本から適切な資金の手当がなされることを期待すると述べました。
鳩山総理からは、日本の新幹線は時間に正確であり安全性にも優れている、採算性の面等課題はあるものの、これを詳細に調査して、これを乗り越えるためによく相談していきたいと述べました。
これについて、計画投資省のボー・ホン・フック大臣は急遽日本に飛び、「留守番」の関係閣僚に会って閣議了解を得たと伝えました。
日経Web刊から引用:
直嶋正行経済産業相は14日、ベトナムのボー・ホン・フック計画投資相と会談した。フック計画投資相はベトナムの高速鉄道建設について「日本の新幹線方式を採用した計画書を国会で審議することになり、喜ばしく思う」と述べた。
朝日新聞から引用:
ベトナム政府が計画するハノイとホーチミンを結ぶ南北高速鉄道で、来日中のボー・ホン・フック計画投資大臣は15日、仙谷由人国家戦略担当相との会談で、日本の新幹線方式の採用を閣議決定したと明らかにした。
新幹線方式の採用を決めた決定的な証拠として、計画書の中に「使う車両の動力を分散、即ち電車方式にしよう」という記述があるとしています。
共同通信から引用:
高速鉄道の方式には(1)日本の新幹線に代表される「動力分散方式」(各車両にモーターを搭載)(2)フランスのTGVなどの「動力集中方式」(先頭と最後尾車両にモーター搭載)―があるが、報告書は動力分散方式の採用を提案するとしているという。
近隣諸国では、台湾高鐵(台湾)がJR東海の700系新幹線電車を事実上そのまま輸出した動力分散方式。中国は日本、カナダ、ドイツの技術を事実上競争させる形式を取っていますが、基本的にはどの国からも動力分散方式をベースにした技術を導入していて、集中方式の採用は見送られました。
共同通信から引用:
中国鉄道省は26日までに、川崎重工業が日本の新幹線技術を供与している中国の鉄道車両メーカー、南車青島四方機車車両から、最高時速350kmの高速鉄道車両140編成を購入する契約を結んだ。契約額は約450億元(約6,040億円)。関係者が同日明らかにした。
車両は日本の東北新幹線「はやて」などをベースにし、北京―上海、北京―広州などの区間で走る予定。2010年上半期から順次、車両を納入する。モーターやブレーキなどを製造する日本の鉄道関連企業にも発注が出そうだ。
その一方でKTX(韓国)は、TGVをそのまま導入した動力集中方式を採用しています。
日本語Wikipediaから引用:
フランス国鉄 (SNCF) TGV Réseau編成の韓国仕様であり動力集中方式を採用、両先頭車が動力車で残り18両が客車となっている。
ところが、計画書の中に貨物ヤードを設置するとの記述があることがわかりました。日本の新幹線も当初は客貨両用とする計画があったのは有名ですが、新幹線方式で客貨両用を本気で目指そうというのは、前代未聞の試みです。
日経Web刊から引用:
ハノイとホーチミンにターミナル駅を新設する。途中の停車駅は25で、中部の中核都市ダナンなど5カ所に貨物専用の操車場を置く。
旅客の計画最高速度350kmに対し、貨物は何キロぐらいになるのでしょうか? 日本の在来線ではコンテナ列車の最高速度は平均95km、幹線で110kmです。戦前の弾丸列車では電気機関車牽引で200km、蒸気機関車でも150kmは出す構想になっていたといい、ベトナムで貨物新幹線をやるというなら、それくらい出させても全然おかしくはないでしょう。