ガソリンと電気を組み合わせて走るのが、ハイブリッドEV(略してHV)。ところが、ベトナムではトヨタ自動車が開発した現在主流となっている形式のHVは単なるガソリン車の延長線上とみなし、優遇税制の適用を認めないとする決定が下りました。

時事通信から引用:
 20日付のベトナム紙トイバオキンテーによると、同国の財務省はこのほど、輸入ハイブリッド車に対する特別消費税確定に関するガイドラインを公布し、トヨタ・カムリ・ハイブリッドを「ガソリン車」と見なすとした。

 ハイブリッドEVは、ガソリン燃焼のエンジンと電気モーターを組み合わせて走ります。発進時や低速域では電気モーターとその電力源である動力用バッテリーのみで駆動し、エンジンの回転効率がよくなる高速域ではガソリンエンジンに自動的に切り替えられます。そして、ガソリン燃焼による走行からブレーキを踏んだときには、ガソリンの供給を停止した後さらにエンジンも止め、タイヤにかかる運動エネルギーをモーターによる発電で吸収し動力用バッテリーに充電させる、「回生ブレーキ」のシステムも採用しています。
 ところが、このシステムをベトナム財務省はガソリン中心の駆動方式であるとして、ベトナムではエコカーに該当しないと解釈しました。

時事通信から引用:
 財務省によれば、トヨタ・カムリ・ハイブリッドやホンダ・インサイトなどの電気の元はガソリンであり、「ガソリンと電気エネルギーを組み合わせて走る車」ではないとして、特別消費税法の第7条に規定する優遇税率の適用範囲に該当しないと断定している。

 つまり、高速域からの減速時に出るエネルギーを吸収するということは、ガソリンエンジンから発されたエネルギーを元に発電したということになる訳です。燃料も運転手が給油しなければいけないのはあくまでもガソリンであって、動力用バッテリーの充電は気にしなくていい。動力用バッペリーをコンセントにつないで充電するのは、プラグインハイブリッドと呼ばれるタイプで、トヨタ自動車でもプリウスの3代目モデルで現在実用化試験中の1台。ベトナムでの発売はまだまだ先です。そうなると、従来のガソリン燃焼乗用車の延長線上に過ぎないという今回の決定も、一理ありそうなものです。

 開発国の日本では、電気モーター駆動中は騒音が出ないことが逆に運転者にとって危険を誘発しかねないとして、電気モーターの擬似音を発振するオプションを設置するよう指導していて、トヨタ自動車も早速、プリウスに搭載することにしました。

日経Web刊から引用:
 国交省は今年1月、ハイブリッド車、電気自動車などモーターだけで発進できる車に対し、疑似音を自動で出す装置を積むようガイドラインを出している。
 トヨタの装置はモーターが回転するような音を、時速25キロまで速度に応じて発する。車両の前のヘッドランプの裏側にスピーカーを組み込んでおり、前進、後退ともに接近を知らせる。

 カムリHVは、2006年1月のカムリ、レクサスES、オーリオン(カムリのオーストラリアでの車名)のフルモデルチェンジと同時に登場。アメリカで製造される北米専用モデルからスタートし、その後、オーリオンをベースにしてオーストラリア、タイ、中国でも製造が行われていますが、日本向けには投入されていません。

 ベトナムに並行輸入で流れてきそうなのは、タイで製造されているものですが、タイでの価格は160万バーツ(=5万ドル)。これをベトナムで売ろうとすると、最低でも特別消費税50%が乗ってくるので、軽く1台8万ドルを超えてしまいます。

HOTNAM!から引用:
 2008年に限っても政府は自動車部品の輸入税を3度、登録料を2度、完成車の輸入税を3度引き上げている。2009年に入りさらに税金、登録料が引き上げられ、ベトナムの自動車販売価格は世界でもトップクラスに入る。しかし自動車の購買力は世界最低クラスだ。

 それでも、ベトナム財務省はガソリン中心の燃焼構造を理由にして、税金の引き下げには応じません。過去には、6~9人乗りMPV(マルチパーパスバン)を対象にした特別消費税引き下げの請願も却下した実績があります。

VIETJOから引用:
 財務省はこのほど、トヨタ・モーター・ベトナムなどが請願をしていた、9人乗り以下の乗用車に対する特別消費税(SCT)の減税に対し、正式に拒否の回答を行った。
 トヨタ・モーター・ベトナムによると、6ー9人乗り自動車はベトナムの家族構成に合致し、ベトナム市場への戦略的車種として採用しているが、今回の増税によりこの戦略はもはや適合しなくなった、という。

 果たしてこのままの状況で売れるのか。ベトナムでHVは公用車以外、まだ使い道がなさそうです。一般市民はモーターバイクで我慢しろとでも言うのでしょうか。

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