インドシナ航空が破綻する前から事業許可を得ていながら、開業のメドが立っていなかった純民間資本の航空会社「ベトジェット」に、有力な出資者が現れました。ベトジェットは今年中の開業にメドをつけるとともに、ジェットスターパシフィックの強力なライバルとなります...、なんと、合弁相手は格安航空アジア最大手のエアアジアグループだったのです!!
クアラルンプールで編集されている経済ニュース専門サイト「エッジ・マレーシア」が2月12日付で報じたところによりますと、エアアジアの持ち株会社がベトジェットに30%程度出資し、社名を「ベトジェット・エアアジア」に変更。出資手続きが完了次第、エアアジアが使用しているエアバス320型機をリースして、第2四半期中(6月まで)にベトナム国内線と、ハノイ・ノイバイ空港またはホーチミンシティ・タンソニャット空港をハブにした東アジア域内の国際線で運航を開始したいとしています。
ベトジェットは2007年12月に、ベトナム初の純民間資本航空会社として事業許可を取得し、2008年12月までに運航を開始する予定でした。ところが、原油価格高騰のあおりを受け、さらにリーマンショックで航空業界全体が冷え込んだため、開業は後へずれ込み、2008年11月、インドシナ航空に先を越されてしまいます。
その後もタイミングを探っていたものの、最悪の場合には就航できないまま事業許可を取り消されてしまう可能性すら指摘されるようになりました。しかし、2009年12月、ついに事業計画の認可を取り付けるに至ります。
VIETJOから引用:
民間航空会社ベトジェット航空はこのほど、来年(2010年)5月から商業運航を開始する計画が交通運輸省とベトナム民間航空局の承認を得られたと明らかにした。
しかし、事業計画の認可を得たものの、インドシナ航空の破綻もあっただけに本当に内資100%でやれるのか、外資のパートナーがいるのではないかと一部では噂されていました。ベトナムの地場報道機関も、暗に外資パートナーの存在を認めていました。
VIETJOから引用:
同社は座席のクラス分けをせず、当初の1~2年間はハノイ市・ホーチミン市・中部ダナン市間の国内線を運航。国内線運航が軌道に乗った次のステップとして、タイ・シンガポール・マレーシアなどの東南アジア諸国、香港・中国・韓国・日本などの東北アジア諸国への国際線を運航するとしている。
座席のクラス分けをせず、ということは、ベトジェットはオールエコノミークラス。ベトナムではジェットスターパシフィックが導入しましたが、ジェットスターはその名の通り、オーストラリアのカンタス航空の子会社です。もしパートナーが本格航空会社だったとしても、全便全席エコノミーだなんて、日本航空インターナショナル(JAL)のハワイ線じゃあるまいし。そうなると、必然的にベトジェットが組むべきパートナーはジェットスター以外の格安航空会社に絞られてきます。
タイガーエアウェイズ(シンガポール)はパートナーを組んでの拡大に消極的で、そうなるとエアアジアが最有力になるのは明白でした。
マレーシアナビから引用:
エアアジアはフィリピンとベトナムにおける航空会社との提携を通じて東南アジア諸国連合(ASEAN)における事業拡大を進める方針だ。トニー・フェルナンデス会長兼CEOが自ら明らかにした。(中略)エアアジアがフィリピンとベトナムにグループ会社を設立すれば、エアアジアは人口にして1億8,000万人地域をカバーする航空会社となる。既にエアアジアへの合弁会社設立へのオファーは多く舞い込んでいるが、具体的な合弁、グループ会社設立の時期に関してはまだ未定だという。
エアアジアグループとしても、ベトナム進出のタイミングを模索していたこともあり、ベトジェットと利害関係が一致。このたび、ベトジェットはエアアジアのベトナム進出にあたって、パートナーに正式指名されたのです。
新生・ベトジェットエアアジアは、タイエアアジア、インドネシアエアアジアと並ぶ、グループ4番目のキャリア。ノイバイ、タンソニャット両空港を、エアアジアグループの新たなハブとして発展させることが期待されます。