ベトナムの人口、8,600万人のうち、サイゴン陥落後の社会主義共和国になってから生まれた人の割合はもうすぐ70%に達するといい、日々上昇しています。中でも1990年代以降に生まれた子供たちが成人を迎える2010年代には、社会に出る人が圧倒的なペースで増えていきます。

VIETJOから引用:
 労働傷病兵社会省は23日、「ベトナム労働・社会動向報告(2009-2010年版)」を発表した。同省所属の労働社会科学研究所と国際労働機関(ILO)が作成したもので、今回が初めての報告。それによると、ベトナムの労働力は2010~2015年の期間、毎年約1.5%(約73万8000人に相当)ずつ増加を続ける。

 738,000人というのは、日本で2010年1月に行われた大学入試センター試験に出願した全生徒の数を、実に4割も上回る数字です。

独立行政法人大学入試センターのHPから引用:
 志願者数 553,368人(前年度543,981人) 対前年度 9,387人増〔1.7%増〕

 しかもこの738,000人の9割近くが大学まで進まずに社会へ出て行くのですから、雇用先の確保が最も重要になってきます。

VIETJOから引用:
 農村から都市への人口流入が加速し、全人口に対する都市人口の割合は2010年の30.4%から2015年には33.6%に増加すると予測している。

 人口、すなわち労働者の都市への流入が進めば、農業に従事する人はその分減ります。都市での仕事である工業やサービス業の充実が欠かせない訳で、それはベトナム共産党が労働者階級を束ねる国民の党として社会に根ざし続けるのにも重要な意味を持ちます。

VIETJOから引用:
 ベトナムの産業別人口割合は、労働者が農林水産業から鉱工業とサービス業に急速に移行していることを反映し、農林水産業人口の割合が2000年の65.3%から2007年には52.2%にまで減少した。

 幸いにもベトナムは東南アジア諸国の中でも物価や労働対価の水準が低く、ラオスやカンボジアに比べて圧倒的な人口絶対数の差があります。多数の人材を必要とする労働集約型産業を展開するには恵まれた環境であることは誰の目にも明らかです。
 だからといって、中国に次ぐ第2、第3の製造拠点、いわゆる「ポストチャイナ」の一角として、インドネシアやバングラデシュ、インドといったベトナムよりも人口の多い国を選んでいる企業が、欧米発の多国籍超巨大コングロマリットを中心に多くなっているのも事実。現に家庭用品大手のユニリーバは、インドネシアで子会社を上場させているほどですが、ベトナム法人は他のASEAN諸国に比べればまだまだ規模は小さいもので、昨年、ようやく地場資本との合弁を解消して外資100%になったばかりです。
 とはいえ、ベトナムに進出した日系企業の多くは、短期間での撤退を望んでいないのも事実であり、それだけベトナムの若い力に対する期待は大きいことが裏付けられています。日本企業にとっては母国、日本国内の雇用問題も重要ですが、絶対数と労賃、勤勉な勤務態度に勝るベトナムでの人材確保のほうがしやすいという現実には逆らいようがありません。

ビナファイナンスドットコムから引用:
 ベトナムは政治が安定、8,400万人の人口の内、若い労働力が豊富である。ベトナムの労働者は優秀で、均一な知的レベルで、頭がよく、勤勉で、手先が器用で、仕事の重圧に対応できると評価されている。

 そんな中、ホンダ(本田技研工業)はベトナムで二輪車の増産に取り組むと発表しました。工場の増設を伴い、1,000人程度の追加雇用が予定されています。

ホンダのプレスリリースから引用:
 Hondaのベトナムにおける二輪車・四輪車の生産販売合弁会社であるホンダベトナムカンパニー・リミテッド(HVN、社長:大西孝治)は、二輪車工場の年間生産能力を50万台拡大することを決定した。(中略) 生産能力の増強は、既存敷地内で建屋を拡張して行う計画で、総投資額は約7,000万USドル(約63億円)となる見通し。稼働開始時期は、2011年後半を予定している。

 しかし、労働集約型産業に起こりやすい低い生産性という問題も指摘されています。労働社会省ではベトナム企業の生産性はASEANの平均よりもかなり低いと認識しています。今後の課題として、製造業での生産性向上が急務になっており、日系企業には日本並みの品質管理体制や生産性向上のノウハウをベトナムにしっかりと伝承し根付かせていく役割も期待されています。
 今後も次々と日系企業の大型進出案件が予定されていて、そこに新規雇用される人材は10万単位になる可能性があります。産業空洞化や厳しい雇用情勢が言われる日本を尻目に目覚しく伸びるベトナムは、アジアに残された数少ないフロンティアといえるでしょう。

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