薬の消費が右肩上がりのベトナム!

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 ベトナム保健省は、昨年1年間の医薬品の消費が金額ベースで17億ドルに達し、前年比で20%近く伸びたと発表しました。
VIETJOから引用:
 ベトナムの昨年の医薬品消費額は前年比18.9%増の約17億米ドル(約1550億円)で、2012年には20億米ドル(約1820億円)に達し、その後は年25%の成長が見込めるとしている。 

 ベトナムの人口は何度も書きますが、現時点で8,600万人。2020年には、1億人を突破するといわれています。世界で高まる健康志向、というか人口が増加すればその分医薬品も必要になる訳で、逆にそうしなければ大変なことになってしまいます。アフリカ大陸で5歳未満のこどもの死亡率が未だに高いのは、慢性的な医薬品と医師の不足が原因です。

財務省ホームページ「第34回アフリカ開発銀行年次総会総務演説」から引用:
 貧困層が成長の果実を享受するためには、死の恐怖から解放され、健康で安心して暮らすことができるという人間の安全保障の確保が基本条件です。しかし、サブサハラアフリカ地域では乳幼児の6人に1人が5歳の誕生日を迎えることなく死亡、妊産婦の死亡率は先進国の200倍です。

 ベトナムもつい最近まではこんな状況でした。ましてやベトナム戦争期の枯葉剤などの影響は未だに深刻な影を落としています。しかし社会主義共和国発足後は日本や中国、ロシアなどの支援を得て基礎的医薬品の自国生産もできるほどになりました。そして基礎的医薬品の伸びに加え、健康を意識できる中上流階層も少しずつ増えてきました。前にベトナムで化粧品の需要が伸びていると書いたことがありますが、資生堂がベトナムに進出したのがまさにそれ。日本への輸出だけでなく、国内需要も期待しているというのです。
 実際、10年前には国民1人あたりの医薬品消費額は年間10ドルに満たなかったのです。

VIETJOから引用:
 昨年の1人当たり医薬品消費額は19.77米ドル(約1800円)で、前年に比べ3.32米ドル(約300円)、2001年に比べ13.7米ドル(約1,250円)増加している。

 ちなみに、世界の医薬品の消費額はG7からカナダを除いた6カ国(日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア)で全体の75%を占めるといいますから、ベトナムが伸びたからといって世界の販売動向に大きな影響を及ぼすものではないという見方もあります。

VIETJOから引用:
 現在医薬品分野へのFDI案件は39件(うち医薬品生産案件は22件)あり、総投資認可額は3億200万米ドル(約275億円)に上るが、市場の規模に比べFDI額はまだ少ないという。

 しかし、それはグローバルな視点からすれば致命的な誤りです。先進国だけが医薬品の恩恵を受けられる時代ではもはやありません。

日本総合研究所のホームページから引用:
 滋養強壮剤等の伝統的な漢方薬は、支出額のウエートが小さいうえにほとんど伸びていない。代わって西洋医薬が含まれる医薬品費への支出が急増しているのが特徴である。(中略)90年頃まで中国では漢方薬に比べ、西洋医薬はかなり高価なものであり、とりわけ輸入薬の投与ともなれば一部の特権階級に限られていたほどであった。それが90年代には一般家庭で購入する等、急激な変化をしてきており、今後も目を離すことはできない。

 人口がベトナムの10倍以上もある中国ですらこうですから、ベトナムがもっと伸びたとすれば、日本を凌駕する大市場に大化けする可能性だってあるのです。ベトナム本格進出を決めた資生堂の目は、ずっと先を見ていました。
 新型インフルエンザの時に、タミフルやリレンザの工場が欧州にしかないとかいう理由で第三世界への輸出が遅れたのをご存知ですか? 新型インフルエンザの死者の数は、6大先進国の合計よりもそれ以外の国の方がずっと多いのも事実です。ベトナムでも2009年末までに40人以上の死者が出ています。アジア内でこれだけの被害が出ているのに、日本や中国に工場があればもっと早く対応ができたのにと、悔やまれてなりません。
 だからといって数年で日本のように伸ばせとは言いませんし、とても無理です。それでもベトナムの医薬品市場が伸びているのは紛れもない事実であり、もう後発開発途上時代の水準に後戻りはできません。そしてASEAN有数の大市場へ、前途は洋々と開け始めています。

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