ビナシン重大危機で会長が事実上クビ!

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 造船グループ(ビナシン)の経営危機問題で、最悪の場合には同社が経営破綻する恐れもあるとして、グエン・タン・ズン首相は同社トップの会長を更迭する措置をとりました。

時事通信から引用:
 国営ベトナム造船グループ(ビナシン)事件に関して、グエン・スアン・フック官房長官は14日、地元の記者団に対し、グエン・タン・ズン首相が13日、ビナシンのファム・タイン・ビン会長(社内党委員会書記兼務)の罷免を決定したと明らかにした。

 ビナシンは2000年代後半になって急速に経営が悪化。主力の造船分野で、外国から受注した大型船の建造が遅れたりする被害が出ています。前にもここで取り上げたビナシン初の大型自動車運搬船も、実は進水、引き渡しが1年近く遅れていました。

前記事「ベトナム初建造の自動車運搬船が完成」から再出:
 8隻はハロン造船所(クアンニン省)で順次建造が進められましたが、2008年に予定されていた1番船の進水はリーマンショック以降の不景気もあって、1年近く遅れました。それでもビナシンはレイ社や郵船としっかり連携して遅れを回復。今回完成したビクトリーリーダー号が1番手として2009年7月に進水しました。

 さらにここへ来て、ビナシンが造船所で使う鉄鋼の調達を有利にするため、マレーシア資本と組んで建設する予定だった製鉄所の構想が事実上、頓挫していることも明らかになりました。

時事通信から引用:
 ベトナムネット(電子版)は13日、カナ鉄鋼コンビナート事業の投資ライセンスが取り消される可能性があると報じた。(中略)カナ・プロジェクトは、ベトナムで最大級の鉄鋼プロジェクトとされ、マレーシアのライオン・グループとベトナムのビナシン・グループに対し、2008年に投資ライセンスが付与されたが、同年11月の起工式以降、ほとんど建設作業は進んでいなかった。

 この製鉄所を中心とするコンビナート建設構想をまとめる過程で、幹部が複数の法令違反に問われる可能性があるとしています。総投資規模1兆円近くに上る大規模プロジェクトに、ビナシンは24%の出資比率で参加するとしていましたが、それがまったく進んでいないということは、ビナシンにとっては現時点で損失になることが既に目に見えているのと一緒です。工費1兆円とすれば、その24%というだけで実に2,400億円。5兆円が予定されている新幹線の全工費の5%という途方もない数字になります。

 これとは別に、製鉄所構想以外でもビナシンがベトナム側となる複数の投資案件が頓挫していて、粉飾決算や各種の法令違反が常態化、乱脈経営に陥っていたのではないかと疑われています。

VIETJOから引用:
 (共産党)検査委員会によると、ビン会長には、同社が実施する案件への国からの出資金の管理・使用に関する無責任、同社と傘下企業が投資主体となって実施する案件の立案・承認・入札に関する規定違反、財政・経営能力のない子会社の乱造、財政状況に関する政府への虚偽の報告などの誤りや違反行為が認められるという。

 ベトナム共産党には、幹部の腐敗や綱紀粛正を担当する「検査委員会」という組織があります。お隣中国の共産党にある「中央規律検査委員会」、政府組織である「監察部」とよく似た組織です。また同じ東アジアの共産圏では、北朝鮮の朝鮮労働党にも「検閲委員会」という組織があります。
 ビン会長は国営企業の社内に設けられる党委員会書記を兼務する、いわば党幹部の一人であるため、党検査委員会による審査の対象となりました。その結果、違法行為が発覚したとして事実上更迭される形になりました。中国であれば、規律検査委員会の処分は誰もが恐れる鬼の決定、過去にはエリートコースともいえる省級党委員会書記から一転、死刑+政治権利剥奪(党除名の上公民権停止)に転落した例もあります。今回の事件は、ベトナムにもそのようなシステムがあるということを証明した形になりました。

 ビン会長は近く書類送検され、社内党委員会書記も解任されることになりそうです。

VIETJOから引用:
 ベトナム共産党中央検査委員会はこのほど、ベトナム造船産業グループ(ビナシン)のファム・タイン・ビン会長について、(中略)関連書類を捜査当局に送ることを決めた。
 

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